研究課題/領域番号 |
21K12959
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
|
研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
原田 昂 就実大学, 人文科学部, 講師 (40880977)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | 英文学 / 19世紀英国小説 / ジャーナリズム |
研究開始時の研究の概要 |
1850年代以降、ヨーロッパではそれまでとは異なる報道特派員が登場し、読者の人気を博した。この新しい特派員は極力事実に即した記事を書くよりもむしろ、物語風に事件を報道した。中には小説家に文章の書き方を学んだ特派員もいたし、特派員の記事と小説を同じ紙面に掲載する雑誌もあった。新しい特派員の登場は文学と報道の境界をあいまいにしたと言える。 この特派員たちはこれまで様々な分野で関心を集め、研究の対象となってきたが、文学研究の視点から語られることはなかった。本研究は、特派員が文学作品や作家に与えた影響および作家の特派員に対する意識を明らかにするものである。
|
研究実績の概要 |
申請者は、1850年代以降の英国に登場した報道特派員と彼らの仕事の意義を、文学研究の視点から捉え直すことを目的としている。この目的を達成するために、2022年度は、週刊雑誌について研究を進め、その成果を日本英文学会九州支部第75回大会において、「A Tale of Two Citiesにおける見知らぬよそ者と無個性な集団―19世紀の新しい読者層と匿名雑誌の関係性から」と題して発表した。この発表は、2つの点で意義深い。1点目は、安価な雑誌の読者と思われていた人々が、中流階級読者と同じ雑誌を読んでいたことを示唆する、新しい根拠を示したことである。2点目は、週刊雑誌を中心として展開された中流階級作家と安価な雑誌読者の関係性が、『二都物語』の中で描かれていることを指摘したことである。以上の2点の結果は、申請者の目的に合致しており、申請者は2022年度に計画していた通りに研究を進めることができた。 また、申請者は2022年度に、前年度の研究から得られた成果を『英米文化』第53号に「『二都物語』における語り手とアレグザンダー・マネットの夜歩き―1850年代の特派員の手法をめぐって」として投稿し、採択された。本研究には、2つの意義がある。1点目は、特派員とその仕事を、文学研究にとって意義深いものとして位置づけたことである。2点目は、『二都物語』の登場人物アレグザンダー・マネットが、語り手と同じ役割を果たしていることを指摘した点である。この内、1点目は申請者の研究計画および目的に合致したものである。また、2点目は、申請者が計画してはいなかったものの、研究計画に従って得られた結果であり、申請者の目的とも合致している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、研究計画に沿って研究を進めることができており、当初予定していた以上の結果を得られている。研究の成果も、口頭発表と論文でそれぞれ発表することができている。 2022年度は、口頭発表が対面形式で開催されたため、前年度とは違って他の研究者と意見や情報を交換することもできた。また、前年度に感染症の影響で執行できなかった予算を使って、申請者の研究と関係が深い学会誌を購読することができたため、新たな知見を得ることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後とも、研究計画に沿って研究を続けたい。2023年度は、研究成果を国際的に発表することを計画しているため、原稿の調整や書き直しなどにかかる時間を考慮し、スケジュールや研究以外の業務との兼ね合いに十分注意して、不測の事態以外で研究計画を変更することが無いように心がけたい。
|