研究課題/領域番号 |
21K12979
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
陳 奕廷 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40781224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 関連事象 / フレーム意味論 / コンストラクション形態論 / 複雑述語 / 事象統合 / 結果構文 / 主体移動表現 / 因果関係 / 複合動詞 / 効率性 / 頻度 / 類像性 / コミュニケーション効率 / 移動表現 / 動詞類型 / プロファイル / 意図性 / 予見可能性 / 百科事典的知識 / コーパス |
研究開始時の研究の概要 |
動詞の意味には、それが直接指し示す事象だけではなく、それと関連する原因や結果、手段、目的、様態などの情報も含まれている(または繋がっている)と考えられる。このような関連事象は従来認知意味論などにおいて、「百科事典的知識」であるとされてきたが、その中身は不明で、ブラックボックスのように分析に用いられてきた。 本研究はこのような概念同士の繋がりを可視化・細分化・モデル化することで、高解像度の関連事象に基づくアプローチという新たな研究領域を創出する。さらに、コーパス及び通言語学的なデータに基づく実証的・網羅的な研究を行うことで、その有効性を示すとともに、人間の脳内にある概念間の繋がりに光を当てる。
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研究成果の概要 |
本研究課題では大規模なウェブコーパスを用いることで、動詞が表す事象と関連する事象を収集し、それに基づいて動詞の意味を浮き彫りにするという独自の「関連事象アプローチ」を提案した。各動詞が具体的にどのような結果や目的などの情報を含んでいるのかを明らかにすることで、1) 2つの動詞の間の因果関係を判断できること、2) 異なる結果構文で許される結果の範囲に違いがあること、3) 主体移動動詞の意味に目的の情報が含まれていることを示した。 このような実証的・類型論的な研究を通して、百科事典的知識を可視化・細分化・モデル化し、百科事典的知識と文法現象の関わりに光を当てることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
認知言語学における学術的意義として、本研究は動詞の関連事象に「なに」が含まれているのかを明らかにするという点で、フレーム意味論を補完するものであり、構文的な制約が「なぜ」生じるのかを説明する点で、コンストラクション理論を裏付けるものである。また、動詞の意味構造と、類型論的・形態論的な動機づけをもつコンストラクションが「どのように」かかわるのかを示す点で、フレーム・コンストラクション的アプローチを精緻化し、通言語学的な分析に適用させるものである。 社会的意義として、本研究は動詞の関連事象の内実を明らかにすることで、自動翻訳や対話型AIなど、機械的な言語処理の精度の向上に利用できる。
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