研究課題/領域番号 |
21K12981
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
大神 雄一郎 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (80826339)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 動詞「する」 / 状態・性質 / 「XはYをしている」 / 無生物 / 身体部位名詞 / イメージ・メタファー / 複合名詞 / 「XはYをしている」形式 / 認知的要因 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語には、「彼は太い腕をしている」や「彼女は白い肌をしている」というように、「XはYをしている」という形式で対象の状態や性質について述べる表現が認められる。本研究は、これを状態・性質の「する」構文とし、その成り立ちを支えるメカニズムについて、認知の在り方に注目する立場から検討する。当該の構文の実態と特徴を詳細に示したうえで、認知言語学の発想を取り込んでの多角的な考察を通じ、その成り立ちについて包括的に解明することを目指す。問題となる構文の実態、特徴、成り立ちについて明らかにし、日本語において重要な動詞である「する」の意味機能と言語的特性について理解を深める基礎を築くことが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は動詞「する」をテイル形で用いた「XはYをしている」という形式によって対象の状態や性質に関する意味を表す日本語表現を状態・性質の「する」構文と呼び、言語の成り立ちにおける認知的要因の影響に注目する立場から、その形式と意味の関係を支えるメカニズムについて明らかにすることを目指すものである。 2022年度には、考察対象とする表現のタイプに関し、前年度に実施した実例の分析に基づいて研究論文を執筆・投稿すること、また、関連する異種の表現にも視野を広げて取り組みを展開することに注力した。研究論文としては、当該の構文のY項に複合名詞を置く表現の類に焦点を当て、こうした表現には先行研究の指摘に反して類種とも少なからぬ実例が認められることを示したうえで、その成立条件について類像性の概念を取り込んで説明することを試みた。その成果は、前年度に行った口頭発表の内容をさらに進展させたものとして、国内学会学術雑誌(採択済・編集中)にて近く公開される予定である。より広い視野からの新たな取り組みとしては、考察対象とする構文と、これに強く関連する異種の表現である「XはYがする」形式で事物の状態や性質を表す表現との対照に着手した。その成果については、これまでには研究成果の発表を行ったことのない学会で口頭発表として公開したが、ここにおいては自身が専門とする認知言語学以外の分野の研究者らから好意的な意見や評価が得られ、実りのあるものとなった。これらに加え、他に2つの国際学会発表を行い、いずれにおいても聴講者より異言語との対比の視点から有益なコメントを得ることができた。また、今年度にはライデン大学のJapanese Studies部門に所属する研究者を訪問し、協働的な取り組みの可能性について相談する機会を得た。 以上の実績により、さらに多角的な観点から取り組みを行い、研究を深化させていく見通しが得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度には、前年度の成果に基づいて国内学会査読誌に2件の学術論文を投稿したが、うち1件は不採択となり、その点においてはやや計画を満たしきれなかったといえる。ただし、査読コメントに基づき、当該の不採択論文は別の分野の学会誌に再投稿することが妥当との見通しが得られており、これについて現在は別の場での成果発表を目指し具体的に投稿準備を進めているところである。また、本年度には複数の口頭発表を行い、それぞれにおいて研究の進展に寄与する有益な情報が得られたほか、海外の研究機関を訪問しさらなる展開に向けての足掛かりを得ることもできた。これらをふまえ、全体的に研究計画は順調に進展しているということができる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に得た新たな気づきや情報、成果を生かしながら、今後においては理論的観点からの考察に力を入れて進め、その成果の公開を進めたい。合わせて、考察対象とする表現と隣接的な関係にある別のタイプの日本語表現や、異言語における対応表現に広く目を向け、より包括的な研究の進展を目指す。得られた成果については学術論文および口頭発表の形で公開し、それらを通じて活発な議論を喚起することを目指したい。
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