研究課題/領域番号 |
21K12990
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
平子 達也 南山大学, 人文学部, 准教授 (30758149)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 上代東国方言 / 東国系諸方言 / 比較方法 / 日本祖語 / 上代東国語 / 歴史言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、日本語諸方言を対象とした比較言語学的研究では、現代琉球諸方言の調査研究に重点が置かれており、ほとんどの本土諸方言が等閑視されてきたと言える。本研究では、そうした従来等閑視されてきた方言であっても、その詳細な研究が、日本語比較音韻論研究に重大な貢献をもたらし得るという見通しの下、奈良時代東国方言(上代東国方言)の特徴を継承しているとされる東国系諸方言を対象に、その音韻論に関する共時・通時両面からの調査研究を行う。本研究の目的は、東国系諸方言の調査研究を通じて、日本語比較音韻論研究に新展開をもたらすようなデータを提供することにある。
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研究実績の概要 |
本年度は当初の計画の通り,上代東国方言の研究と方言調査用調査票の整備を行なった。 上代東国方言の研究については,現在テキストの入力が完了した段階にとどまっている。方言調査用調査票については,平子自身のこれまでの研究に用いた語彙リストと五十嵐陽介氏作成の「日琉語類別語彙」(2019年5月17日版)とをもとにして,その試行版が完成した。2022年度は,これを用いた調査を静岡県旧井川村と岐阜県揖斐川町旧久瀬村とで行う予定である。あわせて,今後COVID-19の影響が長引き,十全に方言調査ができない場合に備えて,沖縄語の歴史的研究のための準備として『おもろさうし』を中心とする沖縄語に関する文献資料のデータベース構築に取り掛かった。 また,日本言語学会第163回大会ワークショップ「日本諸語の形成に関する総合的アプローチ ―大陸倭語・八丈型基層語・アクセントの分布と機能の 3 つの観点から―」において,「アクセントの分布と機能からみた日本諸語の歴史」と題した発表を行った。東北地方に分布する無アクセント方言の位置付けについて,比較言語学的観点から分析し,その諸特徴を「古形の保存」と見る見方に対して,必ずしもそうとは言えず,独立の変化による偶然の一致と解釈しうる蓋然性が大きいことを述べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査票の整備はほぼ完了したが,上代東国方言の研究はテキストデータの入力にとどまっており,十分には進んでいない。また,COVID-19の影響により予備調査も行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末に,偶然にも井川方言を調査・研究している谷口ジョイ氏(静岡理工科大学・准教授)と知り合うことができた。谷口氏は,COVID-19の影響が比較的小さい時期に,井川で現地調査を行なっている。未だCOVID-19の影響が懸念される中ではあるが,2022年度より,谷口氏とその指導学生に研究協力者として本研究に協力していただき,井川方言における調査を少しでも前に進めたいと考えている。谷口氏にはすでに承諾を得ている。また,岐阜県揖斐川町旧久瀬村をはじめとした,本研究で対象とする予定である地域の方言についても,現地の教育委員会などに連絡を取り,オンラインでの調査の可能性を模索する。 なお,COVID-19の影響が今後も続くことを見越して,研究対象を計画前の6つから3つ(井川・久瀬・伊豆利島)に絞り,その代わり,本年度から始めた沖縄語の歴史資料による研究を進めることも検討している。
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