研究課題/領域番号 |
21K13000
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井原 駿 神戸大学, 国際文化学研究科, 助教 (90898032)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 形式意味論 / 語用論 / 発話行為 / 感嘆文 / 命令文 / 虚辞否定 / 条件文 / 最上級修飾語 / 言語学 / 意味論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,日本語の発話行為に関わる言語現象を高精度で捉えることができる形式的フレームワークを構築しつつ,当該の現象の関わる未解決課題に対処することである。その基礎的枠組みとして,主として形式意味論で提案されてきた道具立てを用いる。現状,日本語の発話行為(特に命令・疑問)については,それを表出し得る言語形式が多様に存在するにも関わらず,未だ形式的かつ包括的にそれらの意味解釈のメカニズムに分析が与えられているとは言い難い。本研究では,従来の理論・記述言語学における研究の成果を参照しながら諸現象に説明・分析を与えることで,日本語の発話行為研究を記述を越えた次の段階へ推し進める。
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研究実績の概要 |
本年度は、研究対象となる発話行為のうちの一つである感嘆文の研究に焦点をあて、その言語的振る舞いの記述と、それに並行して形式意味論的分析を推し進めた。 特に、日本語の感嘆文は生起する文末表現によって複数の形式から構成が可能であるものの(「コト」「ダロウ(カ)」など)、記述的な研究を含めて先行研究が少なく、言語事実に基づいた理論的な研究は2000年以降の統語論の研究など一部を除き殆ど報告されていない。 本年度は、典型的な日本語感嘆文のうち「ナンテ…ノダロウ」感嘆文の振る舞いを、(i) 疑問文への回答としての適切性、(ii) 文末イントネーションのバリエーション、(iii) 特定の終助詞とのインタラクション、(iv) 対比の「ハ」との親和性、(v) 聞き手による挑戦の可否の観点から観察・記述を試みた。 分析にはFarkas & Bruce (2010) によるTable-stackモデルと呼ばれる談話モデルを採用し、ノダロウ感嘆文は (1) 話し手のコミットメントとして命題への驚きの態度を表出しつつ、(2)議論中の話題を表す談話のテーブル (Table) には命題のみを追加するという語用論的な効果をもたらすことを提案した。これにより、先の(i)-(v)の振る舞いを統一的に捉えることに成功した。理論的には、これまでの感嘆文研究における主要な争点の一つである「感嘆文はそれ自体で独立の発話行為であるのか、それとも、主張行為 (assertions) の一つなのか」という問いに、前者を支持するものとして貢献した。 なお、本研究成果は、Evidence-based Linguistics Workshop 2022、International Semantics Conference 2022で報告し、John BenjaminもしくはSpringerから出版される論文集に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、研究計画を立てた当初念頭に置いていなかった成果を得ることができた。具体的には、日本語の感嘆文が、それと関連する様々な言語現象とインタラクションを起こし得ることを発見することができ、日本語における意味論研究の記述的な側面を大きく推し進めた。記述と分析において一定の成果を得ることができたものの、そもそも「なぜ」感嘆文が本研究で提案したような語用論的振る舞いを示すのかという原理的な説明への糸口は未だつかめておらず、その点において現在までの進捗状況を (2) と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き「ナンテ…ノダロウ」感嘆文の分析を推し進める。具体的には、この構文が感嘆(=「驚き」)の意味を表出するメカニズムを明らかにするために、「ナンテ」「ノ」「ダロウ」それぞれの意味から構成的 (compositional) に分析する手法を検討する。また、他の形式の感嘆文、例えば「ナンテ...コト」感嘆文や、裸の文や名詞のみから表出される感嘆文について、「ナンテ…ノダロウ」感嘆文との比較を通じて分析する。
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