研究課題/領域番号 |
21K13012
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
久田 行雄 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (60883189)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 平仮名 / 言説史 / 文学史 / 国語学史 / 女性 / 近代 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は平仮名が女性の文字であるという言説の発生・展開について、明治時代以降の文献を対象として調査を行い、その歴史を明らかにすることを目的とする。文字・表記史を扱う国語学の文献に限らず、文学史・書道史・教育史などの文献を博捜し、共時的・通時的な視点から、言説の発生・展開の過程を実証的に明らかにすることを目指す。また、女性の社会進出や『源氏物語』の評価の変化といった社会的な価値観の変化と平仮名に関する言説との関連性を検討し、学問のあり方と社会風潮の影響関係について解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、平仮名の歴史と女性がどのような文脈の下で結びつけられてきたのかを、近代の資料を対象として明らかにすることである。国語学のみならず、文学史・教育史・書道史などの資料を渉猟しながら、平仮名と女性がどのように論じられてきたのかを包括的な視点から解明する。 当該年度は、昨年度に引き続き、文学史を扱った資料を対象として言説の収集、および整理、その把握を行った。昨年度と同様に先行研究を参考として資料を調査したが、新たに国語科の文学史教科書を調査対象として加えて、更なる調査を行った。その結果、以下の点が明らかとなった。 〔1〕明治20年代から戦前までの期間の資料を調査した結果、平安時代において男性は漢文、女性は仮名文を用いるという対立から説明するものが、時期に関わらず多く見られることが明らかとなった。文学史の資料では、固有の文字を持たなかった日本人が平安時代初期頃から仮名を使用し始めたことで国文学を発達させたことに触れるが、その当時は漢文で書くことが主流であり、仮名を用いた文章は低く見られていたと説明する資料が多く確認された。また、「女手」「女文字」という平仮名の呼称や、土佐日記の冒頭にも言及しながら、平安時代において仮名文を書いたのは女性であり、男性は仮名文を書くことを卑下していたと説明するものが多く確認された。このような構図で平仮名が説明されてきたことで、平仮名は女性の文字であるという認識が生み出されていったと考えられる。 〔2〕また、文学史の資料では平安時代の男性が平仮名を使用することを明確に言及するものが非常に少ないことが明らかとなった。くわえて、男性の平仮名使用に言及する資料では、男性が平仮名を使用するのは和歌であると指摘する点が共通していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は「研究実績の概要」にも記した通り、先行研究を調べながら文学史を扱った資料の収集と調査を行っていたが、当初の想定よりもその作業に時間がかかってしまい、学術的な成果を発信することができておらず、当初の予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの成果は論文を投稿する準備が既に整っている。その一方で、本来取り組む予定であった書道史関連の資料の調査には手がつけられておらず、計画の見直しが必要である。 次年度は「女手」「女文字」という用語の調査を行う予定であり、その際に近代における書道関連の資料を調査することになるため、その作業を行いながら計画の修正を行う予定である。
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