研究課題/領域番号 |
21K13014
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 東洋大学 (2023) 信州大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
杉山 俊一郎 東洋大学, 文学部, 准教授 (10868970)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 格 / 意味 / 分類語彙表 / 文体 / 古代語 / 格助詞 / コーパス / 文章・文体 / IPAL名詞辞書 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古代日本語における斜格の意味用法について、研究者間で共有可能な、再現性の高い分類枠によって網羅的に整理し、その意味用法や使用実態の全容が把握できるデータベースを構築することを目的とする。 本研究ではその試みとして『日本語歴史コーパス』により抽出した格助詞の前接語と係り先述語のそれぞれに『分類語彙表』番号を付与し、その組み合わせパターンを手がかりとして格の意味用法認定を行う、という方法を採る。 広く共有されている言語資源を活用し、意味用法認定に至る種々の手続きを追認可能なかたちで示すことで、従来研究者間での成果共有が容易でなかった斜格の意味領域の研究を活性化することが期待できる。
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研究実績の概要 |
今年度は、データの点検と作業範囲の拡大を以下のように進めた。 まず、データの点検は、これまで『古典対照分類語彙表』の分類語彙番号を付与してきた係る語、受ける語について、各種注釈書をあらためて参照し、意味分野の認定の妥当性や認定の幅(複数の意味認定がありうるものや、その場合の認定の揺れ)について見直しを行った。また、この間に国立国語研究所から公表された「CHJ-WLSP」(2023年10月29日公開)のうち、『竹取物語』『土佐日記』の名詞・代名詞について比較対照を行い、①本文解釈の相違、②分類語彙表への依拠態度(分類語彙表内の番号でできるだけ処理するか、積極的に新たな意味番号を付与するか)、③対象とする単位の長さ(短単位と長単位。本研究は長単位に意味番号を付与している)などによってどの程度の揺れが出るかを確かめた。全体では、20~25%の相違が出るが、その内訳は上記①②が各5%程度、③が2~4%、その他(国語研がNULLとしているものに対して本研究がデータ入力しているもの)が10~12%程度となって、作業者による単純な解釈の揺れは5%程度にとどまることが確認できた。この結果により、『分類語彙表』の枠組みを用いた研究の有効性と限界とが把握できた。 次に、作業範囲について、これまで特定の格助詞が付接するものに限定していた意味番号の付与を、体言、用言全体に拡大して作業を進めた。これは、前年度までの成果により、特定の格の意味用法の偏りや欠落が、時代差、文体差のいずれであるかを判断するには、他の格の使用実態や、語彙表現の傾向を把握する必要があると考えられたためである。現在は、『源氏物語』『平家物語』など各時代言語量の大きな文献の一部を中心に作業を進めているが、『万葉集』の体言については現時点で約87%まで完了しているので、このまま作業を進め、できれば早めに公表できる機会を持ちたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度後半に体調を崩していた影響と、環境変化の適応に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
『万葉集』の体言については87%までデータ化が進んでいるので、本データを用いた調査結果を報告する機会が得られればと考えている。具体的には、『万葉集』の「に」格の意味領域について、その調査結果を出せることを目指している。また、一部の格については時代を限定せずに前年度までと同様の方法で作業を進め、意味用法の分布の変遷がどのような要因に拠るのか、引き続き検討していきたいと考えている。
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