研究課題/領域番号 |
21K13016
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
難波 えみ 岡山大学, グローバル人材育成院, 特任講師 (30842819)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 描写表現 / 格助詞デ / 主語に対する描写 / 主語描写 / 指向性 / 評価 / 話し手の意識 / 日本語 / 動詞句 / 副詞的表現 / 描写 / 心理言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語では、様態と結果の副詞的表現の区別は、動作の展開側面に依存し、動詞が要求する名詞句の情報が考慮されていない。一方、副詞的表現と主語や目的語などの名詞句との関係が示唆される例もある。そこで、本研究では、副詞的表現から文要素に対する描写という性質を抽出し、描写語と呼び、その説明妥当性を記述的および心理言語学的な実証により裏付けることを試みる。①描写語のデータベース作成による描写語の全体像の記述、②描写対象が有する情報的性質の提示、③反応時間測定実験による描写語の情報と動詞の情報に対する認知と理解の3つ過程を経て、描写の観点から、動詞句内に生起する副詞的表現のより包括的な説明を試みる。
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研究実績の概要 |
前年度の進捗を日本言語学会第164回大会で発表した。その際にいただいたコメントに関連して、格助詞デ句が描写表現として機能するものを対象に調査を計画した。 2020年の毎日新聞を用い、「名詞+で」の形式をとる用例から、本調査の対象となる様態の機能を持っていると思われるものを絞り込んだ。その中で、さらに動作の様態を表すもの(議論が急ピッチで進む)、主語を描写していると思われるもの(選手がFWで出場する)、目的語を描写していると思われるもの(住人が農地を安価で購入する)に分けた。分類対象となった用例自体が多くないものの、様態の「名詞+で」は、主語描写(約6割)>様態(約2割)>目的語描写(約1割)、保留(約1割)と、明らかな分布の偏りが見られた。今後は、このような分布となる要因や、名詞が主語の何を述べているのか、描写表現の実際を調査していきたいと考えている。ただ、明確な判断ができなかったものがあり、今年度の調査結果については、さらなる精査が必要である。 また、本課題では、アンケート調査(描写文産出課題)も行う予定である。その実施に向けた準備にも着手し、アンケートで用いる動作の選定を検討した。将来的には日本語学習者の描写表現も調査できるよう、平易かつ基本的な動作を『日本語能力試験出題基準』(国際交流基金 ,日本国際教育支援協会(著・編)、2002)から1000語程度抽出した。この中から、級が低く、明確な動作が読み取れ、適切な写真素材が利用できそうなものを条件に100語程度の動詞を選んだ。なお、今後はこの100語からアンケート実施できるものを20語程度まで絞り込む予定である。 これらの作業と並行して、アジア諸言語の描写述語に関する文献を読み、他言語での描写表現の把握に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「名詞+デ」の調査は本課題実施前には想定していなかったが、課題を進めるにあたり調査の必要性を感じ、調査を行ったことが理由としてあげられる。必要な調査のため、このことによる遅れは今後の研究を妨げるものではないと考えられる。 ただ、新聞データベースから用例を抽出するための技術の習得に関しては、やや時間を要したため、研究全体の進捗に影響を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、「名詞+で」の用例を精査し、描写表現の性質や機能について結論を出したいと考えている。この成果については、学会や研究会など何らかの形で発表し、識者のコメントを得る。 続いて、描写文の算出課題(アンケート)も実施したい。当初、本研究課題では動画による描写課題を予定していたが、動画素材の収集の問題があり、現在は写真素材を用いて行うことを考えている。写真素材については、写真素材パッケージを契約したので、比較的早期に実施できるのではないかと思われる。
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