研究課題/領域番号 |
21K13018
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 北洋大学 (2022-2023) 早稲田大学 (2021) |
研究代表者 |
陳 曦 北洋大学, 国際文化学部, 講師 (10880528)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 複合語 / 複数のアクセント単位 / 地域差 / 日本語の方言 / 発音調査 / 聴取調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本語の地域的変異におけるアクセント単位形成の実態を捉え,その地域差を検討し,さらに,アクセント単位形成の選択傾向の違いの理由を探ることを目的とする。従来,アクセント単位形成の地域差を取り上げた研究は少なく,また,地域差に言及した研究においても,なぜそのような差があるのかについて分析されていない。本研究は,アクセント単位形成の地域差はどこから生まれるのかを大きな問いとし,様々な方言におけるアクセント単位形成の実態を,音声の産出と聴取の両方の手法を用いて調査し,アクセント単位形成の地域差の理由を探ることで,日本語の地域的変異におけるアクセント単位形成の全体像を捉える。
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研究実績の概要 |
2023年度は無アクセントとされる地域(熊本市および周辺)の話者10名を対象に複合語のアクセントに関する発音調査を行い、音声データが得られた。複合語のアクセント単位形成について,20-40歳代の若年層で熊本市など都市部で生まれ育った話者は,複合語のアクセント単位形成が東京方言に類似している傾向が観察された。一方,上益城郡で生まれ育った20歳代の話者,阿蘇郡で生まれ育った70歳代の話者,熊本市南区(旧飽託郡)で生まれ育った60歳代の話者については,東京方言とは異なる傾向が観察された。 つまり東京方言では複合語の内部の意味関係などによって1単位になる複合語と複数単位になる複合語があるが,上記の話者においてはそのような区別が明確には見られない。また,上記の話者による複合語のピッチパターンは東京方言のよう中高型ではないことが確認された。これは地域差,または世代差,あるいはその両方によるものだと考えられる。この結果について今後学会など発表すべく準備を進めている。 また,方言の音声について,方言の聴覚印象の観点から研究を進めた。実際の方言音声をもとに,方言の聞き心地を評価する調査を行った。その結果,日本語母語話者にとって日本語の方言の聞き心地は,①聞き慣れている方言は聞き心地が良い,②聞き慣れない音が多くあると,聞き心地が悪い,③濁音は聞き心地を悪くする要因になり得る,ことが分かった。今後はアクセントなどプロソディの観点から分析していく予定である。その結果は,口頭発表「中国語学習歴のある日本語母語話者による中国語の方言の聞き心地の評価」,「日本語母語話者による日本語の方言の聞き心地評価」,および研究論文「中国語非母語話者による中国語の方言のイメージ&―日本語母語話者を対象とした聴取調査から―」により公表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は本研究計画の3年目となるが,最初の2年間は社会的情勢により,調査を実施することが難しく,やや遅れが生じていた。 2023年度は熊本県で発音調査を行ったが、研究計画の最初の2年間の遅れを取り戻すには至っていないことから、「やや遅れている」と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き,日本語複合語のアクセント単位形成の地域差について分析を進めていく。 まず,既に得られた発音データを十分に検討する。音声データのピッチパターンを確認し,当該方言の特徴を明らかにする。また,方言間の傾向を比較する。 さらに,アクセントタイプと東京方言の影響の受けやすさの観点から,弘前方言・高知方言など他の方言を調査する予定である。
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