研究課題/領域番号 |
21K13019
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
遠藤 佳那子 鶴見大学, 文学部, 准教授 (20737184)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 日本語学史 / 学校文法 / 義門 / 五十音図 / 俗語訳 / 契沖 / 悉曇学 / 富樫広蔭 / 本居春庭 |
研究開始時の研究の概要 |
近世国学者である義門は、伝統的に五音相通と言われてきた音韻交替の現象を「転用」と称して整理し、自身の活用研究に用いる。本研究では、「転用」の具体的用例の整理と議論の集成である義門『山口栞』(天保7年〈1836〉刊)を主な研究対象とし、従来の五音相通説をどのように整理し、活用論に援用しているか検証する。本研究によって、これまで単線的に把握されてきた五音相通説と活用論の関係を循環的な関係として見直し、近世国学における活用研究の実態、さらには学校文法成立過程の一端が解明されることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は近世国学者・義門による『山口栞』を主な研究対象とし、それまでの五音相通説をどのように整理し、活用論の構想に援用しているか検証するものである。昨年度は資料調査に重点を置いたが、本年度はそれら資料調査で得た情報の整理を行なった。また、引き続き『山口栞』の内容のデータベース化を行いながら、個別の項目について精読と考察を進めた。 (1) 複合に伴う語形変化 昨年度までの研究により、悉曇学(古典サンスクリット語学)の知見をもとに複合語の分類を行なっていることが明らかになったが、今年度も引き続き悉曇学との関係について考察を行なった。そもそも複合語の分類は、動詞の語形変化が関係しており、本居春庭の活用論を敷衍しようとすると必ず解決しなければならない問題である。そのため本年度は本居春庭の活用論に遡って再度考察を行った。この成果を「本居春庭『詞通路』における掛詞と活用の関係」(令和5年度鶴見大学日本文学会秋季大会、2023.12、於鶴見大学)および「本居春庭の活用論再考」(上智大学国文学会2023年度冬季大会、2024.1、於上智大学)で口頭発表した。 (2) 俗語と古語の関係 昨年度調査した義門『類聚雅俗言』は雅俗対訳語彙集であり、古典語と当代語(近世後期の話し言葉)とが対照されている。『山口栞』にも詳述されるような、古典語で二段活用動詞だったものが当代語では一段活用になるといった五十音図の枠組みを前提とした指摘だけでなく、「うとまし」と「オトマシイ」のような語彙的な語形変化の記述もあることが確認できた。これに関連して遠藤(2024.3)「義門『活語指南』における和歌の俗語訳」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・資料調査によって得た知見やデータの整理と精読に時間がかかっているため。 ・江戸時代の悉曇学に関する学識について広範に参考文献を渉猟したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまで収集した資料と『山口栞』本文の分析から、近世後期における語学と五十音図、ひいては悉曇学との関係について引き続き考察を行い、義門の語学研究における悉曇学の影響を明らかにする。また、昨年度収集した資料の整理とデータ整備に注力する。
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