研究課題/領域番号 |
21K13059
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 順天堂大学 (2023) 大東文化大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
藤井 里美 順天堂大学, 国際教養学部, 助教 (20738330)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 外国語教育 / 言語教育 / 教室内インタラクション / 認知的過程 / 語彙学習 / 語彙指導 / 内容言語統合型学習(CLIL) / アセスメント / 内容言語統合型学習(CLIL) / 内容言語統合型学習(CLIL) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、談話研究に加え、語彙研究や言語テストの研究方法を取り入れ、日本国内の教室における外国語(英語)学習者の、「やりとり」と「認知的過程」の関係を解明する。教室内の語彙学習に焦点を絞り、「学習語彙(学習者が授業で学習したと主観的に感じた語彙)」及び教員の「目標語彙(教員が、授業内で学習者に指導すると予め決めていた語彙)」が学習者自身の「理解」に至っているのか、また、やりとり中、これらの語彙がどのように用いられているのかを調査する。語彙理解に至ったやりとり、至らなかったやりとりを明らかにすることで、効果的な授業・教材作成方法を、国内外の研究者・教員に対し発信していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は次の6点を行った。(1)研究課題用に事前に収集していた外国語授業の授業音声データの文字起こし作業、(2)「語彙テスト結果」と「文字起こし」を用い、学習者の語彙理解に至ったインタラクション及び至らなかったインタラクションを調査、(3)初級または中級レベルの英語クラス受講生のうち英語語彙知識の広い者の発話データを調査、(4)研究課題に関連した口頭発表を国内の国際学会で2本、単著論文投稿を1本、(5)査読付き国際誌の論文査読者として外国語学習及び教育を扱った論文の査読を担当、(6)本科研費の補助事業期間延長承認申請。 (1)に関しては、予め収集していた初級及び中級レベル(計4クラス)の授業音声データのうち、前者は全データの音声認識システムへのアップロードを完了した。更に、(音声認識エンジンが正しく認識できない箇所が多くあり、その箇所は人力で修正する必要があるため)その後の人力作業を進め、文字起こし原稿は半分以上完成した。後者のアップロードも全体の約半分完了し、そのうちの本年度研究発表に必要な箇所を優先的に人力修正し、文字起こし原稿は一部完成した。(2)に関しては、初級レベルの傾向を一部まとめ学会で口頭発表を行った(論文執筆中)。(3)に関しては、初級または中級レベルの学習者のうち英語語彙サイズ・テスト(どのくらいの数の英単語を知っているか推定するテスト)結果がほぼ同点で高得点だった者の発話に着目し、語彙知識量がほぼ同等でありながらアカデミック英語能力が初級または中級と差が出た要因を調査し、分析結果を学会にて口頭発表(論文投稿済み)した結果、分野・教育現場への貢献が見込まれる研究という評価を得た。 2021年度から主に(1)に時間を費やし、本年度は(2)(3)の研究発表が行えたが、文字起こしの全原稿は未完成なため、(6)の延長承認申請を行い着実に進めることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、次の5点の作業を行う予定であった。(1)収集済みの授業音声データのうち、文字起こしが済んでいないデータを音声認識システムにアップロード、(2)音声認識エンジンが正しく認識できなかった箇所を人力で修正、(3)文字起こし原稿の編集、(4)「語彙テスト結果」と「文字起こし」を用い、学習者の語彙理解に至ったインタラクション及び理解に至らなかったインタラクションを調査、(5)分析結果や考察内容を発表できる形に整え、国内で学会発表や論文投稿。また、時間が許せば(6)効果的な教材提案を行う。 全て無事に行うことができたが、(1)に関しては中級レベルの全授業音声データのアップロードが完了しなかった。その理由として2023年度は所属研究機関が変更となり様々な別作業(事務手続き、新所属先の業務手順やマニュアル等の把握、など)に時間を要した。(2023年度夏期休暇以降ようやく作業を再開し、予定していた研究発表は無事に行うことができた。)また、本音声認識システムを利用するためにはオンライン環境が必要であり、インターネット接続が切断してしまうと不要な作業時間や費用が発生してしまうため、安定した環境で集中的に作業を進められるよう自身の日程調整等にも時間を要した。 2023年度終盤、文字起こしする必要のあるデータが残ったが、アップロード作業のペースを上げることで予期せぬエラー発生等の対処に追われることがないよう研究期間延長手続きを行う判断をし、中級レベルのデータ残量が約半分という時点で年度を終了した。これに伴い(2)以降も2024年度に作業が残ることとなったが、本年度にここまでの研究成果を発表し研究者や教育関係者からの有益なコメントを受けたことで以前に比べ本研究内容の関連情報を多角的に捉え調査できるようになった。遅れは生じたが、当初よりも実りある研究を行えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度同様、次の5点の作業を引き続き行う。(1)収集済みの授業音声データのうち、文字起こしが済んでいないデータを音声認識システムにアップロード、(2)音声認識エンジンが正しく認識できなかった箇所を人力で修正、(3)文字起こし原稿の編集、(4)「語彙テスト結果」と「文字起こし」を用い、学習者の語彙理解に至ったインタラクション及び理解に至らなかったインタラクションを調査、(5)分析結果や考察内容を発表できる形に整え、国内外で学会発表や論文投稿。 加えて、本年度は初級または中級レベル各クラスの学習者のうち、英語語彙サイズ・テストにおいて英語語彙の知識量がほぼ同等で比較的豊富でありながらアカデミック英語能力に差が出た学習者数名に焦点を当て、これらの学習者の発話データに関し研究発表を行った。結果、研究者や教育関係者より分野や教育現場への貢献が見込まれる研究という評価を得た。このため、(6)本内容に関連した文献調査や、本研究のデータ分析・研究発表を継続し、今後の研究に活きる取り組みを行う。また、前述6点を経て、(7)効果的な外国語授業や教材提案等を行うことを目指す。 (1)は2024年度前半には完了するが、(2)及び(3)は多くの時間と労力が必要となるため2024年度中に仕上がらない可能性がある。このため、本研究遂行上、優先的に分析すべき音声を随時検討し、そちらを集中的に文字起こしする。2023年度までの研究を経て収集データのうち優先すべきデータが定まってきたため、文字起こしが必要な箇所かどうかの判断が以前よりもつけやすくなった。よって、今後は上記(4)以降に最も力を入れ、本研究課題の成果報告が価値ある内容となるよう取り組む。また、本研究において文字起こしをしたが分析は不要と判断した箇所に関しては、今後、別課題で活用可能なものがないか、この点に関しても検討したい。
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