研究課題/領域番号 |
21K13080
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 立命館大学 (2021) |
研究代表者 |
大山 万容 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 講師 (40773685)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 複言語教育 / 統合的教授法 / 多元的アプローチ / 言語景観 / 食育と外国語教育 / 国語科と外国語科の接続 / 小学校外国語教育 / 中学校外国語教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本の小中学校の外国語教育のカリキュラムに複言語教育を組み込むことにあり、そのために次を行う。 [1] 外国語教育における省察の工夫に注目して、複言語教育の具体的な方法である「統合的教授法」の教材開発を実践者と共同で行い、周知する。 [2] 教材や教授法の知見を得るためにフランスで調査研究を行い、また研究者招聘を行って、国際研究として発信する。 [3] それらの結果を教員養成へ還元する。
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研究実績の概要 |
日本の小中学校の外国語教育のカリキュラムに複言語教育を組み込むという研究目的のため、研究計画1「小中学校への複言語教育のための教材開発とアクションリサーチ」および研究計画3「教員養成」を設定した。これらに関して、今年度は複言語主義とアート、科学、リテラシーを結ぶ「PASTELアプローチ」の研究を中心に、小中学校で重視されている食育を通して、研究を進めることができた。外国語教育と、言語以外の領域(ここでは食育)とつなげるプロジェクトを学校教諭らと開発したことにより、東京都栄養教諭研究会や中河内・南河内地区学校栄養士研究協議会研修会での講演を行い、栄養教諭らとともに小中学校への導入について議論を行うことができた。 研究計画2「海外調査・研究者招聘」については、コロナ禍や戦争による影響で申請者本人の欧州渡航はできなかった一方、ベトナムの学校での複言語教育を視察する機会を得、この機にアジアの研究者・教育実践者らとの研究交流を深めた。3月にはカナダからダニエル・モーア教授を招聘し、国際研究集会2023(於京都大学)、関西フランス語教育研究会2023での講演を依頼し、複言語教育研究の日本での活性化に協力するとともに、申請者の複言語教育研究に対してもさらなる示唆と協力を得た。計画していた小中学校訪問は、タイミングを合わせることができず、不可能だったが、モーア氏らとの協働研究の成果として、複言語教育に関する理論的・実践的な研究をもとに章を執筆し、デンマークとドイツそれぞれで書籍が出版された。さらに昨年度から続けてきた統合的教授法に関する研究は、日本で出版される書籍として結実した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れている理由は、主として以下による。研究計画時点から勤務形態が変わったこと、またロシアによる戦争の影響で、ヨーロッパでの調査が特に時間的制約によって困難となり、実現できていない。また、個人サイトでの周知についても遅れている。 予想とは反して進んだ点もある。研究計画にはないが、フランスを拠点とする複言語教育の国際会議EDILICにおいて、統合的教授法の研究と普及を目的とする分科会を発足させるためのグループに参加し、主としてヨーロッパを拠点とする研究・実践者らとのつながりを広げることができた。 またコロナ禍がやや落ち着きを見せたため、数年ぶりに国際研究集会を開催することができ、2日間の研究集会とその準備を通して、カナダ、イタリア、南アフリカを含む国内外の研究者らとさらなる協力関係を気づくことができた。対面での研究交流によりさらに新たな領域の研究者らとのつながりを作ることができ、これにより研究計画を深化させることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間で得られた知見をもとに、①複言語教育を小中学校の現場に取り入れるための方策のさらなる明確化と分析、そこから②小中学校以外の教育段階への示唆 の両方を中心に進めていく。具体的には、日本では第2外国語は圧倒的に大学生以上に限定されているが、大学での複言語教育のために小中学校での取り組みがいかに示唆を与えるのか、という観点について、これまでの研究を基にした考察を深めていく。 勤務形態の変化に伴い、小中学校を何度も訪問して教材開発をしたり、大学で教員養成を実施することが困難となった。一方で、日本の小中学校の実践からヒントを得た「PASTELアプローチ」を分析・推進することにより、研修会などで小中学校教員とかかわりを維持できた。ここで得た知見をさらに勤務先での言語教育に還元することも考え始めており、そのためのパイロットスタディを開始している。当初の形態とは異なる形で、アクション・リサーチや教員研修の方策を探究することができているため、これをもとに結果を出していきたい。
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