研究課題/領域番号 |
21K13092
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芳賀 和樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00566523)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 歴史資料 / 官林 / 国有林野 / 秋田 / 施業案 / 19世紀 / 御料林 / 地域社会 / 森林史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19~20世紀前半を対象に、国有林野・御料林経営の成立・展開と地元地域社会との関係を、林野庁森林管理局で保管されてきた歴史資料を活用して解明する。この歴史資料(史料)は、木材生産のための森林経営だけでなく、地元地域社会の山稼ぎ状況、地域経済における木材需給、農業・鉱業との関係等にかかわる史料も含み、地域史を明らかにするうえでも有用である。 本研究を通じて、国有林野・御料林が卓越した地域の歴史的特徴を析出する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、19~20世紀前半を対象に、国有林野・御料林経営の成立・展開と地元地域社会との関係を、林野庁森林管理局に伝来した歴史資料を活用して解明することである。本研究を通じて、国有林野・御料林が卓越した地域について、その歴史的特徴を析出したいと考えている。2年目である2022年度は、研究実施計画に沿って、関係史料のデジタルデータ化(デジタルカメラで撮影)による収集を進めた。また、調査対象地域のひとつである秋田地域をとりあげ、施業案関係資料等を用いて、下記のとおり明治期の官林・国有林野の資源状況や利用の特徴を分析した。1890年4月、農商務大臣の指示により、秋田大林区署は官林の仮施業案を編成した。実務は各小林区署・派出所が担当し、面積・樹種・林齢・本数・材積等が把握され、毎年の伐採高等が計画された。こうした仮施業案から、阿仁銅山小林区・長木沢小林区を例にとり、樹種別本数の割合を検討した結果、植生に相違が認められた。その後、1899年の国有林野特別経営事業開始により、秋田大林区署管内の国有林についても施業案・同説明書が作成された。説明書には地況・林況、木材需給と他産業との関係、施業方針等が記載された。阿仁合小林区大又事業区の施業案説明書(1910年作成)を例にとると、利用は阿仁鉱業所への払い下げが主であった。本分析の成果は、近代の国有林野において、小林区・事業区ごとに森林資源の状況や利用に特徴があることを示しており、国有林野経営の展開と地元地域社会との関係を追究するうえで重要な知見と考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に沿って、秋田地域・木曽地域の国有林野・御料林関係史料をデジタルデータ化して収集した。さらに1年目である2021年度の調査から特徴的な樹種利用が示唆された北九州地域を調査対象地域に追加し、史料の所在調査およびデジタルデータ化による収集を実施した。また、秋田地域を例にとり、施業案説明書の分析を進めることができた。以上から、おおむね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
現地調査を適宜実施し、史料の所在状況を引き続き調査するとともに、関係史料をデジタルデータ化して収集する。そのうえで、収集史料の内容を整理・データベース化する。とくに官林・国有林野経営の成立過程と、小林区・事業区ごとの森林資源状況や利用の特徴に着目し、国有林野経営と地元地域社会との関係性について分析を進めたい。
|