研究課題/領域番号 |
21K13095
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 聖心女子大学 (2023) 岐阜大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
芹口 真結子 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (70801158)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 宗名論争 / 宗派間対立 / 東本願寺 / 浄土宗 / 浄土真宗 / 近世仏教 / 幕府交渉 / 真宗 / 地域社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世日本に展開した宗派間対立が、地域社会に及ぼした影響について、地域社会の宗教構造、支配関係、および江戸・京都といった他地域との諸関係に目配りしながら総合的に検討するものである。 具体的には、安永3年(1774)から寛政3年(1791)にかけ、「浄土真宗」の宗名をめぐって、浄土宗と真宗諸派が対立を繰り広げた宗名(しゅうみょう)論争を事例に、論争の係争者であり、かつ徳川将軍家と所縁のある浄土宗・真宗寺院が多く分布する三河国を対象とし、宗派間対立が地方寺院、地域民衆、個別領主に与えた影響を解明する。
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研究実績の概要 |
これまで収集してきた宗名論争関係史資料(大阪府立中之島図書館蔵柏原家文書「覚書」など)を分析し、歴史科学協議会編『深化する歴史学』(大月書店、2023年)で、「宗門改帳からみる宗名論争」と題した論文を執筆し、宗門改帳の別帳化という現象を取り上げることで、宗名論争が近世社会に与えた影響を一般向けに紹介した。 具体的には、『御触書天明集成』に収載されている安永5年(1776)12月に触れ出された宗門改帳の仕立て方に関する触書と、その触書に対する各所の対応を論じている。それまで一冊に仕立てて提出させていた宗門改帳を、今後は一宗派一冊に仕立てて提出するよう指示する触書に対し、全体的にはスムーズに別帳化が果たされたこと、そうした触書が流された背景には、浄土宗と浄土真宗の宗名をめぐる対立が宗門改の遅滞を招いていたことにあることを示している。 また、2024年2月20日では、龍谷大学において「三業惑乱と香月院深励」と題する口頭報告を実施した。多くの地域を巻き込む宗教問題としてこれまで注目されてきた西本願寺最大の異安心事件である三業惑乱に、東本願寺学僧の深励がどのように関与していたのか、現在まで残る伝承を、歴史事実にそくして解明した。その関連史料(国会図書館デジタルコレクション公開資料、大谷大学図書館所蔵の写本等)を検討するなかで、当時の東本願寺が親鸞への大師号勅許と浄土真宗号公称の二つの達成を悲願として考えていたことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで調査した史料群の分析を進め、一部を研究論文として投稿・公開をすることはできたものの、夏季に研究代表者の所属機関の異動があり、当初の計画より調査出張を控えざるを得なかった。そのため、「(3)やや遅れている。」を選択している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続きこれまで収集した宗名論争関係史資料の整理と分析作業を進め、大谷大学図書館、本願寺史料研究所(以上京都府京都市)、本證寺(愛知県安城市)、岐阜県歴史資料館(岐阜県岐阜市)、宮内庁書陵部(東京都)等に所蔵される史資料の追加調査を行う(2023年度中に実施できなかった史料調査も上述の調査に組み込むかたちで消化する予定である)。特に、親鸞への大師号勅許運動が、宗名公称とともに東本願寺教団が重要視していた事実を踏まえ、関連史料の収集も適宜進めたいと考えている。 また、投稿した学術論文の査読結果を踏まえて修正した原稿の再投稿や、研究会等での口頭報告等を進めていく。
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