研究課題/領域番号 |
21K13106
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 四天王寺大学 (2022) 立命館大学 (2021) |
研究代表者 |
河原 誠 (田中誠) 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (20791437)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 室町幕府 / 官僚 / 奉行人 / 文書管理 / 学問 / 日記 / 清元定 / 史料論 / 文庫 / 記録 / 評定衆 / 足利氏 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、室町幕府将軍の直臣であり、研究史上政務運営の実務を担う評定衆・奉行人に着目して、その地位や機能の変化から幕府権力の展開過程を明らかにするものである。 これまで官僚層は6代将軍義教期以降にその権限を増大させると言われてきたが、南北朝~室町期の検討が不十分なまま出された結論であった。とりわけ、官僚層の氏族構成や世襲化の動き、南北朝期に新設される役職や諸機関と官僚層の関係は未解明である。また官僚の統制手段である昇進制に着目し、将軍と諸大名との幕政をめぐる諸矛盾をあぶりだす。近年では室町殿≠将軍の地位の絶対性を説く研究が多いが、官僚制の検討を通じてそうした見方を相対化することを目的とする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、室町幕府奉行人制の成立と展開という論点に関して、以下のような成果が得られた。 ①室町幕府の文書管理:本稿では、鎌倉幕府における公文書管理体制がいかに室町幕府に継承され、変質していったかを検討した。鎌倉幕府では幕府文庫による集中的な公文書管理がなされていたが、室町幕府では観応擾乱によりそうした体制は崩壊し、各奉行人の家が個別分散的に管理する体制に移行し、奉行人の家が文書管理の中核となったことを解明した。 ②六波羅奉行人の学問と漢籍:本稿では、六波羅探題奉行人斎藤唯浄が執筆した御成敗式目注釈書『関東御式目』を中心に、鎌倉・室町両幕府における奉行人・評定衆における学問のあり方を検討した。多くの和書・漢籍を所蔵していたが、注釈には権威のある五経・漢籍だけが用いられていたこと、また『白氏文集』の受容の形態から、漢籍により鎌倉後期における式目運用のあり方についても注釈をつけていること、学問を行うに際しての文庫の蔵書の変遷なども解明した。奉行人は従来から法律の専門家であったことは指摘されていたが、本稿によりその学問的背景の具体相を解明することができた。 ③室町幕府奉行人清元定の史料紹介および典籍の書写:戦国期の奉行人清元定が執筆した第11代将軍足利義澄の元服記を翻刻紹介した。その史料的性格を検討し、本史料が元定が付けていた日記の別記にあたることを指摘した。あわせて元定が書写・収集した史料を整理し、応仁の乱後における幕府の復興と関連があることを見通した。 これらの成果の他、歴史マンガと日本中世史との関係を考察した論考も発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は幕府奉行人について幅広い時代(鎌倉・南北朝・戦国)、そして多様なテーマからその活動を追究することができた。続けて幕府奉行人を中心とした役職昇進過程の研究を行い、将軍権力による幕府内部の統制手段を解明することを目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
南北朝期における幕府奉行人に関する史料はほぼそろっているので、なお室町から戦国期にかけての史料を収集する必要がある。刊本を中心に史料を収集し残された課題を遂行していきたい。
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