研究課題/領域番号 |
21K13108
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
駒井 匠 四国大学, 文学部, 講師 (30794945)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 護国思想 / 東アジア / 国家と仏教 / 仏教制度史 / 桓武朝 / 『金光明最勝王経』 / 僧侶統制 / 天皇霊 / 天皇菩薩観 / 神仏関係 / 日本古代史 / 仏教史 / 「国家仏教」 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国家は、どのような護国思想に基づき政策・制度を施行したのか、そして護国思想が変化することで政策・制度はどう変化するのかという、思想の変化に重点を置く方法で、「国家仏教」の展開過程を見直す。 護国思想としては、国王(日本では天皇、唐では皇帝)と護国の関係を取り上げる。また政策・制度としては、得度制度を中心に検討する。 加えて①日唐比較を通じて、日本の護国思想と「国家仏教」の特質を解明し、②8・9世紀を通時代的に把握することで、従来画期とされてきた9世紀初頭の桓武朝や最澄・空海の位置づけを再検討する。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、8・9世紀日本における国家と仏教の関係を、東アジアの護国思想からの影響に着目して再検討した。9世紀後半の天台宗には当時幼帝として即位した清和天皇を菩薩と見做す観念が登場し、天皇菩薩により現世・来世の安穏がもたらされるという思想が存在したことを明らかにした。また9世紀前半には死した天皇の霊魂が祟りを起こした場合は、仏教による祟りの鎮圧が見えるが、9世紀後半に至ると、天皇の霊魂の祟りと仏教の関係が見えなくなることを明らかにした。 また8世紀末から9世紀初頭にかけての仏教統制策を検討し、それが8世紀初頭の唐で作成された『金光明最勝王経』の注釈内容に依拠していたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題により、9世紀後半に天皇菩薩観が喧伝されるその政治的意義が明らかになった。また死した天皇の霊魂への祈願内容の変遷も検討したが、そこには必ずしも中国仏教から影響を受けていない点も明らかにできた。加えて、8世紀末から9世紀初頭日本の仏教統制策を検討し、8世紀初頭の唐仏教からの影響を受けていることがわかり、その歴史的位置が解明された。従来、その政策が国王の在るべき姿を説く経典の注釈に依拠していることが明らかにでき、統制的側面を重視する従来の研究とは異なる研究方法を提示できた。これらを通じて、東アジアにおける日本仏教の位置づけを考える上でも重要な論点を提示できた点に大きな意義があると考える。
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