研究課題/領域番号 |
21K13112
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
橘 悠太 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, アソシエイトフェロー (40847662)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 寺院聖教 / 聖教調査 / 一切経 / データベース構築 / 経典 / 資料調査手法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大破した寺院聖教群を分類・整理する上で基準となる聖教の情報を全体調査に先だってデータベース化し、調査対象である聖教群の構成の大枠を予め復元・把握することで迅速な分類・整理作業の進捗を可能とする調査方法について試行するものである。加えて、本研究を進める中でおこなう大破した聖教の開披・保存といった作業経験やノウハウの蓄積を利用し、大破した聖教の整理・調査手法や調査作業スキームの一類型も提示する。また、本研究によって得られる大破した聖教の開披・保存作業とデータベース化、それらの情報に基づく分類・整理作業を通じ、大破した聖教に対する有効的な調査方法や研究活用での有用性についても模索したい。
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研究実績の概要 |
本研究が対象とする大破聖教については、本年度も引き続き當麻寺一切経を中心にすすめた。 當麻寺一切経については、開披作業が済んだ大破聖教より基準史料(分類・整理する上での基準となる年月日などの奥書がある経典)を選定する作業について、前年度から継続して実施した。そのうち、箪笥以外に荒縄で一括されて収納されていた一切経群について、確認・選定作業をおこなった。選定した一切経については、前年度に引き続き写真撮影・整理、データ入力といったデータベース化に向けての基礎作業をおこなった。當麻寺一切経調査の経緯や作業の概要については、「当麻寺所蔵古経典の調査」(『奈良文化財研究所紀要2023』、2023年)として公表した。また、作業の過程で確認することができた特徴的な一切経奥書の一部についても上記の論文内で公表した。これら新出の聖教奥書については、研究代表者が執筆した自治体史に反映した他、新聞等でも取り上げられた。加えて、當麻寺一切経に関係することから実施した當麻寺本堂銘文調査および関連調査の成果について、「当麻寺曼荼羅堂・金堂の中近世銘文」(『木簡研究』45号、2023年)として公表した。 當麻寺一切経以外の大破聖教調査については、新型コロナウイルス流行により中断していた三佛寺所蔵大破聖教調査を再始動させた。今年度の調査では、史料の状態等を改めて確認し、開披可能と判断できたものについて開披の再作業を実施した。作業の結果、従前の調査で確認していたよりも多数の経典が固着したことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では當麻寺一切経調査について、写真撮影・入力等のデータベース化に向けた作業を実施しているが、史料状態の良くない経典の撮影が続いているため、本年度も撮影作業等に遅れが生じている。また、本年度は新型コロナウイルス流行によって中断していた三佛寺等所蔵大破聖教の調査について久々に実施したが、改めて調査方針の策定からすすめたため、大破聖教の整理作業に十分な調査時間を割くことができなかった。 そのため、本年度の進捗状況についてはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
當麻寺一切経については、次年度も箪笥収納以外のものについて作業をおこなう予定である。作業の内容は本年度までと同様、写真撮影・整理およびデータベース化をおこなう予定である。また次年度には、蓄積したデータを元に當麻寺一切経の全体構成を示し、そうした情報が一切経調査などの大規模調査に対してどのように有効であるのかを示すことを本研究の着地点とする。 また、次年度も引き続き三佛寺等の大破聖教調査の実施予定である。それ以外の寺院についても、大破聖教の情報収集および調査について進める予定である。
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