研究課題/領域番号 |
21K13113
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 東北学院大学 (2022) 東北大学 (2021) |
研究代表者 |
堀内 香里 東北学院大学, アジア流域文化研究所, 客員研究員 (60867357)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | モンゴル / ジェンダー史 / 家族史 / 清朝時代 / ハルハ / 遊牧民社会 / ボクト政権 / ジェンダー / ボクト政権期 / アジア史 / 清代 |
研究開始時の研究の概要 |
前近代から今日にかけてモンゴル社会のジェンダー秩序がどのような変化/不変化を見せたのかを描き出すには、各時代のそれを明らかにすることが必須である。しかしながら、社会主義期以降を対象とした研究は既に着手されているのに対して、それより前の時代については実証的な研究がほぼ皆無である。従って、まずはアーカイブ史料の豊富な清代から社会主義に入る直前のボクト政権期までの間を対象にモンゴルのジェンダー秩序を早急に明らかにし、そのうえで他時代の既存研究との比較を通してモンゴル社会におけるジェンダー秩序の変容を明らかにし、ジェンダーが当該社会全体の構造を如何に規定してきたのかを考察する。
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研究実績の概要 |
2022年度はウランバートルにあるモンゴル国立中央公文書館で長期的な史料調査をおこなった。その過程で、近世モンゴルにおけるジェンダー秩序の解明のためには、先に当該社会の家族について明確にしておく必要があることに気づいた。しかしながら、管見の限りこの問題については実証的研究が乏しく、特に一般庶民の家族についてはほぼ何も明らかになっていない。そこで、当該時期に家族関連案件を調整する過程で作成された公文書を収集した。秋に帰国した後は収集した史料を再読し分析した。 まず取り組んだのは養子縁組の問題である。特に近世までの養子縁組とは家の機能を維持するために行われることが多く、モンゴルにおいても相続は無論のこと、介護や養育のため養子縁組が行われていた。こうした養子縁組の事例を分析すると、そこにもやはり性差が明確に看守できた。養子および養親の性別は、かかる養子縁組の目的によって一程度規定されていた。 近世モンゴルの家族史研究は緒に就いたばかりであり、他地域との比較、相対化が求められている。また、養子縁組を通して故意に構築された「家族」がどのような課題を解決しようとしていたのかについては更に研究が必要であり、そうした研究を通して当該社会の家族のあり方、その社会的役割を解明することが次の課題である。 なお、当該年度の史料調査から、前年度までの研究成果の一部に修正が必要であることも明らかになった。すなわち、女性が直接に当局に通報したり訴訟を起こしたりする事例があることである。前年度まではそうした史料を見つけられず、女性の事案はその父や兄弟の名前を以て報告された事例しか見つからなかった。一方で、文書の署名を見ると男性の識字のほうが女性よりも圧倒的に高いことが知れた。 総じて、当該年度は史料調査とその分析に時間を費やした年である。次年度以降はその成果を広く公表し、他の研究者と議論し、理解を深めたいと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はモンゴル国立中央公文書館にて女性に関する史料を収集し、その後男性の場合と比較しつつジェンダー規範を明確にし、その秩序の解明を目論んでいた。しかしながら、コロナによる規制が緩和し、漸く現地調査ができるようになり、実際に史料を調査してみると当該社会における「家族」の理解なくして、本課題の解明は難しいことに気づいた。そこで、ジェンダー問題を直接的に調査することは一旦脇に措き、家族史研究にシフトチェンジする必要が生じた。近世モンゴルの家族史研究は、史料が膨大にあるにも関わらず歴史資料に基づく実証研究が手に着いていない問題であり、社会史研究には必須の課題である。一見すれば回り道に思われるが、長い目で見れば本課題の解明を早め、また深化させると信じている。
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今後の研究の推進方策 |
18世紀から20世紀初頭までのモンゴルにおける家族史研究を遂行するにあたり、当該地域の社会人類学研究の成果は有用である。ケンブリッジ大学にあるモンゴル・内陸アジア研究ユニットはそうした研究の世界的中心である。次年度は同ユニットおよび大学にて資料調査を行うと同時にユニットメンバーと共同研究を進め、モンゴルにおける「家族」の性質やあり方を明らかにすることを目指す。そのうえで、男性や女性がその社会関係や家族関係においてどのような規範が求められ、社会全体の秩序を構築し維持していたのかを明らかにすることを志す。
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