研究課題/領域番号 |
21K13130
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
大西 克典 川村学園女子大学, 文学部, 准教授 (20758958)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | イタリア / 憲法 / ハプスブルク / 啓蒙 / トスカーナ / 18世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
ハプスブルク家治下の18世紀後半のトスカーナで計画された成文憲法は、身分によらない議員の選出や部分的な君主権の制限を含んでおり、残された史料からもその条文はほぼ完成していたことが分かっている。通説によればこの計画は1780年代前半に破棄されたとされてきたが、近年いくつかの史料が発見されたことで、1790年代前半まで計画が続いていた可能性が高まった。本研究の目的は、この憲法が発布されずに終わった理由を問い直す作業を通じて、トスカーナをはじめとするイタリアにおける啓蒙改革全体の性格を今一度考察することである。
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研究実績の概要 |
まず、本年度はイタリアの出版社Edizioni di Storia e Letteraturaからイタリア語で単著を出版した。この本は、憲法計画と同時期に進んでいた土地台帳編纂計画を主題としたものであり、博士課程での研究成果を中心にまとめたものである。一見本研究課題と直接のつながりは薄いように見えるが、両方の計画に共通して参加していた人物も多く存在しており、実際に本研究課題に関連する研究で得られた知見を盛り込むことで、この本では博士論文で取り上げた個別事例をより広い文脈の中で考察することができた。 また、前年度までに収集していた史料の中にある覚書の一つを日本語に翻訳し、解題を付けて発表した。この覚書にはフランス革命初期の動向に影響を受けたと思われる箇所が多々あり、レオポルドのフランス革命観や後年に皇帝としてフランス革命に対峙した際の彼の行動を考える際にも示唆的である。加えて内容の面から判断してこの覚書は1789-1790年に書かれたことが推察され、ちょうど同時期に起きていたネーデルラントの反乱に対するレオポルドの対応とトスカーナの憲法計画には相互に関連がある可能性が高いことも合わせて指摘した。すなわちトスカーナの憲法計画の中で練り上げられたレオポルドの統治観が、ネーデルラントの反乱者たちに対する当初の穏健な姿勢へとつながったと考えられるし、またこの宥和政策によってもネーデルラント情勢が沈静化しなかった事実がトスカーナにおける憲法計画の放棄や政策の転換に影響した可能性が高いのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの流行に伴う渡航制限が解除されたことにより、2023年2月と3月にウィーンとフィレンツェで史料調査を行うことができた。特にウィーンでは先行研究ではあまり利用されてこなかった憲法計画関連史料を中心に閲覧・写真撮影することができ、この史料の中からトスカーナの憲法計画とハプスブルク家の他の支配領域への統治政策との関連を示唆する文書も新たに発見した。18世紀末のハプスブルク家統治下の諸国の動向の中でトスカーナの憲法計画を再考しようとする本研究にとっては、この史料の発見はこれまでの研究の遅れを取り戻す進展であった。 フィレンツェでは1790年以後ウィーンに出立したレオポルドとその留守を預かったトスカーナの政府との間の通信を重点的に確認した。こちらでは予想外の大きな発見こそなかったものの、1790年6月のフィレンツェでの暴動を契機として、死刑を復活させ、外国人の入国制限を行うなどそれまでの改革路線や憲法草案の内容とは相反する政策をとっており、この暴動が憲法計画放棄の一つの大きな理由であったことは確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度前半は2022年度にウィーンとフィレンツェで収集した史料の整理と分析にあてる。特にウィーン側の史料には、先行研究ではほとんど言及されていないが、重要な情報を含む史料が多く存在しているので、その整理と分析を特に重点的に進める予定である。 また2023年度はこれまでに得られた成果の一部を国内外で積極的に公表していく予定である。2023年度前半に口頭報告を行ったのち、そこで得られたレスポンスを活かしながら2023年度後半には論文の執筆を進めていきたい。合わせて、2023年夏と2024年冬には再度ウィーンとフィレンツェで史料収集を予定している。今回は特にレオポルドが親族やトスカーナの政府と交わした手紙類を参照し、1790年前後の彼がフランス革命やハプスブルク家諸領域での反乱・騒擾などにどのように対処しようとしたか、あるいは対処の方針に変更がなかったかどうかを探っていく予定である。
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