研究課題/領域番号 |
21K13131
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 岐阜市立女子短期大学 (2022) 明治大学 (2021) |
研究代表者 |
藤田 怜史 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30738381)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 原爆投下 / 核問題 / 第二次世界大戦 / 戦略爆撃 / 科学・技術 / 軍産複合体 / 戦時経済体制 / 航空機産業 |
研究開始時の研究の概要 |
戦略爆撃作戦は第二次世界大戦で本格的に導入され、1945年8月の日本への原爆投下により、その展開はひとつの極致に達した。その後、少なくとも戦争では核兵器の使用はないが、現在もなお爆撃やミサイル攻撃の恐怖に怯え、それにより命を奪われる人々がいる。その戦略はなぜ、どのように立案され、実施され続けているのか。本研究は第二次世界大戦期のアメリカによる戦略爆撃作戦に焦点を当て、その作戦の実行がどのように可能になったのかについて、軍用機をはじめとする兵器の開発・生産・調達の過程も注目し、その要因を特定するものである。
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研究実績の概要 |
令和4年度の研究実績は、翻訳の刊行1点と研究発表1点である。 令和4年11月にミネルヴァ書房より、アンドリュー・ロッター著『原爆の世界史―開発前夜から核兵器の拡散まで』(原題:Hiroshima: A World's Bomb)が刊行された。「はじめに」および「終章」を含めて全10章構成のうち、報告者の担当は第4-6章、アメリカにおける原爆開発、原爆使用の決定、その背景としての戦略爆撃作戦の拡大、日本への投下とその被害がおおまかな内容である。本書においては、米英による戦略爆撃が無差別な性質を持ち、きわめて大規模な犠牲を生んだこと、そしてそのことが原爆投下による大量殺戮への道筋を開いたとして、きわめて重要な意味が与えられている。第二次世界大戦における戦略爆撃作戦の歴史的意義を理解するという点で、本書の刊行本研究に大きく資するところがあった。 研究発表のタイトルは「アメリカの強さと軍産複合体―科学・技術研究と大学の役割」である。第二次世界大戦期を中心に、冷戦期に至るまでを射程とし、アメリカの「強さ」の源泉にはその科学・技術力があり、その研究拠点として大学がきわめて重要な意味を持ったことを確認した。第二次世界大戦期の戦略爆撃作戦の実施においても、航空機産業の生産能力だけでなく、大学および企業の研究開発能力があってこそそれが可能になったのである。本報告は戦略爆撃の実施にいかに大学が重要な位置を占めたかを示唆するものであった。 以上に加え、アメリカでの資料収集は叶わなかったが、国会図書館等で可能な限り資料を収集し、令和5年度の研究に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究が遅れている要因は大きく2点ある。 第一に、所属機関の移転とそれに伴う転居などのため、夏季休業期間中にアメリカでの資料収集を実施することができず、十分な一次資料に基づく研究が進められなかった。ただしこの点については、オンラインおよび国会図書館等で可能な限り資料収集を行うことで、令和5年度の研究の進展に備えている。 第二に、令和5年度に刊行予定の、アメリカ経済論に関連する教科書(の1章)の執筆に相対的に多くの時間を投じたためである。ただし、その内容は軍産複合体に関するものであり、今後の研究に大きく資するものである。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に生じた遅れを取り戻すために、夏季休業期間中に渡米して資料収集を実施し、戦略爆撃作戦遂行のために、軍部と産業界がいかに連携していたかを明らかにすることを目指す。それに加え、戦略爆撃作戦の遂行に科学・技術力と、そのための研究開発活動がいかに関わっていたかについての検証も進める。この点については、令和5年6月に研究報告を実施することが決定している。その報告に基づき、令和5年に学会誌等への論文投稿をする。さらに、収集した資料の分析とそれに基づく論文執筆を進め、本年度中の完成を目指す。予算および時間が許す限り、春季休業期間中にも資料収集を実施したい。
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