研究課題/領域番号 |
21K13135
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上田 直弥 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 助教 (70823780)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 日本考古学 / 古墳時代 / 埋葬施設 / 古墳 / 地域性と画一性 / 中期古墳 / 中心ー周辺関係 |
研究開始時の研究の概要 |
古墳時代中期についての研究は、甲冑の精緻な型式学的検討や埴輪の系統分析などが近年特に盛んになっているが、一方で前期に比して埋葬施設が全国的に多様化する、その歴史背景については、規範の弛緩・消失期として大掴みにしか捉えられてこなかった。 そこで本研究では中期古墳をテーマとして、①政権中枢域における中期埋葬儀礼の実態解明、②畿内的埋葬施設の広域波及とその背景の分析、③葬制秩序において非畿内的埋葬施設が持つ意義の解明、の三つを柱とする分析を、埋葬施設の構築過程や細部構造の検討を通じて実施する。そして古墳時代後期における横穴式石室の全国展開を導いた要因とその歴史背景の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は引き続き各地における現地調査を実施するとともに、近畿における後期古墳墓制にも対象を広げて構造詳細の分析を実施した。合わせて2021年度・2022年度における作業成果を総括する作業を実施した。対象地域の一つである加古川流域地域については昨年度の口頭発表内容をもとに補足的分析と論文化の作業を実施した。地理的に近い古墳群同士の関係においても、埋葬施設の詳細構造における特徴から相互関係を推定することが可能なことや、石材産出地の分布など地域的特性に影響された在地墓制と、外的影響を受けて成立した墓制とが重層的な展開をみせる状況などを明らかにできた。当該地域の分析をケーススタディとして、他の地域においても応用的な分析が可能であるとの見通しを得た。 後期古墳については主に畿内の横穴式石室墳を対象として、使用石材の表面積計算を用いた巨石化状況の比較分析を行い、畿内型横穴式石室の中にも前期以来の地域的枠組みが影響を与えている状況を推定できた。この分析による成果は研究期間中にまとめることができなかったが、近く論文等の形での公表を予定している。 成果の総括的内容については、特に中期古墳における葬制の特徴を前期、後期と比較することで、畿内の有力集団においてもその個別性・非連続性が際立つことが明らかとなった。前期から中期を経て後期への一方向的な変化ではなく、往還的かつ複雑な変遷状況をみせることから、古墳の中で埋葬施設が担う社会的役割が常に固定されたものでは無く、古墳時代社会全体の変動の中で重要な役割を担っていたことを改めて確認できた。
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