研究課題/領域番号 |
21K13140
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
浦 蓉子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (80746553)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 平城宮 / 出土木製品 / 木屑 / 残材 / 植生 / 周辺植生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は奈良盆地北半部地域をモデルケースとして、「残材」や「自然木」という視点を導入することにより、特に平城宮下層の木製品を周辺の植生環境や木材加工の現地性を踏まえて位置付け、古墳時代における集落の木材調達とその利用について明らかにすることを目的とする。 自然木は遺跡周辺の植生環境を表し、木屑などの残材は木材加工の現地性を示す。集落での木材調達や利用を考えるために自然木、木屑などに裏打ちされた木製品研究をおこなう。
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研究実績の概要 |
本年度は、利用木材の背景にある植生を復元するための素材として、各遺跡から出土した炭化材に着目して分析をおこなった。これまでの検討では遺跡から出土した木製品、木屑・残材、自然木の3種類では、樹種は異なる傾向を示した。そこで木製品が残りにくい環境においても比較的残存しやすい炭化材に焦点をあて、古墳時代、奈良時代の炭化材について樹種同定をおこなった。結果として、奈良盆地北半に立地する遺跡から出土した炭化材であっても、遺跡や遺構の性格ごとに樹種(ヒノキ等の針葉樹が多くを占めるものや、アカガシ亜属等の広葉樹が多くを占めるもの、モミ属やツブラジイなど針葉樹と広葉樹とが混ざるもの等)の傾向が異なることを把握した。 また、昨年度おこなった朱雀大路西側溝から出土した奈良時代の木屑についての分類と定量的な分析についての一案を提示した論文を刊行した(『木屑の分類から見た平城京における木工活動』)。合わせて平城京左京三条一坊十五坪の井戸から出土した木屑の接合をおこない、加工前の木材の形状復元をおこなった。復元した木材から木材流通時の形態について想定し、木材の調達についての検討を文章化した(『平城京におけるスギ材利用の一例』)。さらに加工道具としての斧の検討も進め、木材加工実験をおこなった。加工実験で得た木屑と木材に残る加工痕跡と合わせて観察をおこない、観察視点や木屑の部分名称・用語についての検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、木材や種子、葉など利用木材の背景にある植生を復元するためのデータ収集をおこなっている。ただし古墳時代の残材・木屑の事例の収集については、遺物の状態等もあり、当初の見通しほど樹種同定等の分析をおこなうことができていない。しかしながら、木屑を検討するうえでの観察視点や取り扱い方について文章化をおこなうことができた点や、木屑・残材の個々の遺跡における様相についても検討を進めている点などから本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに雑木、木屑残材等における樹種データ、および葉や種子データの蓄積をおこなってきた。さらに今年度におこなった炭化材の樹種同定等、着実にデータの蓄積をおこなっている。引き続き、研究計画調書に依拠しつつ、調査・研究を進めていく予定である。
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