研究課題/領域番号 |
21K13143
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
永井 義隆 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (40880620)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 文化財科学 / 乾性油 / 桐油 / 豚血 / 塗料 / 伝世資料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、桐油を主たる結合材とした血液を含む堅固な塗料の製造技術を明らかにすることである。桐油と豚血を混ぜ合わせた材料は下地材として、琉球王国や中国、台湾にて使われてきたとされている。しかし、我々の研究グループの分析事例において、桐油と豚血を混合した材料が下地材ではない用途で用いられていると推測される伝世資料が確認されている。そこで本研究では、伝世資料の分析結果に基づいて推測される製作工程で桐油と豚血を混合した材料のモデル試料を作製し、各種評価および分析を行う。そして、伝世資料の分析結果と比較することで、それらの伝世資料の製作工程の推定を行い、それら資料の保存修復や復元の一助としたい。
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研究成果の概要 |
伝世資料に使用されたと推測される桐油と豚血を混合した塗料のモデル試料を作製し、各種物性測定および分析を行った。豚血を加えることによって、塗料の乾燥時間の短縮や塗膜硬度の上昇などの効果が確認された。また、塗膜硬度に関しては漆塗膜と同程度の硬度を有するモデル試料が確認されたため、漆器にもみられる技法である線刻を施すことが可能であると推測された。一部の物性において塗料として用いられる漆塗膜と同等な物性を有するモデル試料を作製することが可能であり、伝世資料に使用されたと推測される桐油と豚血を混合した塗料の製造方法解明に近づいたといえる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの研究では桐油と豚血を混ぜ合わせた材料は下地材として、琉球王国や中国、台湾において使われてきたとされている。本研究では類例の少ない桐油と豚血を含む塗料が使用されたと推測される伝世資料を対象としている。伝世資料の分析結果をもとにモデル試料を作製し、伝世資料とモデル試料の分析結果を比較した。一部の物性測定や分析において伝世資料とモデル試料の結果が類似しており、桐油と豚血を混合した材料が塗料として使用された可能性を示すことができた。また、現存する伝世資料の保存修復および復元の足掛かりになったといえる。
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