研究課題/領域番号 |
21K13144
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
池田 仁美 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 講師 (90441229)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ミシン / 裁縫教育 / 洋装化 / シンガーミシン裁縫女学院 / 裁縫雛形 / 洋服裁縫 |
研究開始時の研究の概要 |
日本国内の洋装化の黎明期における,女子を対象としたミシン裁縫教育と洋装化の進展について,「シンガーミシン裁縫女学院」で展開されたミシン裁縫教育の具体的な指導事例から得られる知見から考察をおこなう。明治41年から同校に2年間通っていた生徒が遺した実物の授業教材資料群は,洋服の型紙製図と衣服雛形と授業ノートで構成されている。これらの資料を元に,3Dバーチャルフィッティング及び縫製工程の再現をおこなうことにより,立体的な洋服裁縫技術の習得過程と黎明期のミシン裁縫教育の特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は,日本国内の洋装化の黎明期に,女子を対象に行われたミシン裁縫教育と洋装化の進展に関し,ミシン裁縫教育の具体的な指導事例から得られる知見から考察をおこなうものである。調査に用いる主な資料は,明治39年に有楽町に設立された「シンガーミシン裁縫女学院」に明治41年から2年間通っていた生徒が遺した実物の授業教材資料群で,洋服の型紙製図と衣服雛形と授業ノートで構成されている。これらの資料群からは,当時のミシン裁縫教育においてどのような指導が展開されていたのかを把握することが可能である。洋装化の黎明期において裁縫の機械化と洋裁教育の実態から新規的な文化の受容の様相を捉え,女性の社会進出と工業化や,そのための教育としての裁縫の位置づけを明らかにすることを目的とし,研究を進めている。同時代には,「東京裁縫女学校」においても「シンガーミシン裁縫女学院」と同様に裁縫雛形教育がおこなわれており,両者の比較から,ミシン裁縫教育の特異性を炙り出したい。本研究で得た知見を元に,第74回日本家政学会年次大会の服飾史・服飾美学部会公開シンポジウム「裁縫雛形にみる女子教育の諸相」において,事例報告をおこなった。「シンガーミシン裁縫女学院」の雛形は同年代の他校の裁縫雛形との特徴と異なる部分が顕著であり,ミシンを用いた洋裁教育は,和裁による手縫いから発展した洋裁教育とは別の系譜がある事が推測できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は,研究に必要な文献の選定と収集,記載内容の整理を進めた。また,2021年度には,本学で未調査の裁縫教育教材(裁縫雛形)が100点以上発見され,これらの裁縫雛形の整理,分析,調査を優先的に進めた。調査の結果,発見された裁縫雛形は,本研究で研究対象としている「シンガーミシン裁縫女学院」とほぼ同年代のたの裁縫教育機関である「東京裁縫女学校」で作成されたものであることが判明し,ミシン裁縫教育の教育機関である「シンガーミシン裁縫女学院」の雛形資料の比較対象として,研究の独自性を高めることができる資料であると判断できた。そのため,未調査の裁縫雛形の整理分析を平行しておこなった。また,裁縫雛形の整理分析を通じ、縫製の復元による「シンガーミシン裁縫女学院」洋裁教育課程の再現を試みたが、2022年度は学内業務が当初の予定よりも急激な負担増となり,当初の計画より遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
「シンガーミシン裁縫女学院」で使用していたミシンと同等の年代のミシンを入手することができたため,縫製技術の習得段階に応じたミシン裁縫教育を,当時のミシンで再現できないか試みている。操作技術の習得と鍛錬をおこなう。再現の過程から得られた研究成果は、日本家政学会関西支部大会で発表をおこなう。
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