研究課題/領域番号 |
21K13151
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 尚志 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (60848050)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 河成段丘 / テフラ / 支流 / 土石流 / 支流閉塞 / 珪藻 / 扇状地 / 地形発達 / 土砂動態システム / 数値地形解析 |
研究開始時の研究の概要 |
河川流域全体の長期的な土砂収支や内陸部の地殻変動の評価の高度化のためには,上流域における河成段丘の発達過程の理解が必要不可欠である.本研究では,最終間氷期以降の日本列島の河川上流域における,支流から本流への土砂供給様式の長期的な変化過程を復元する.さらに,その変化過程と支流集水域の地形・地質条件の関係を明らかにし,上流域における本流と支流の結合性とその時間変化を数千~数万年スケールで明らかにする.
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研究実績の概要 |
関東地方の相模川,秋川や東北地方中部の河川において現地調査を実施した.支流の堰き止めによって生じた可能性が指摘される堆積段丘構成層の発達過程や堆積環境を推定するために,相模川流域では葛原層(およびその相当層),秋川流域では五日市湖成層(留原層)を対象として露頭調査を実施して,段丘堆積物を記載し,得られた試料を基に珪藻分析,テフラ層の対比などを行った.葛原層の模式地付近において各テフラ層の高度を測量し,支谷縦断面形に投影してテフラ降下時の支流河床勾配を復元した結果,最終間氷期後半の河谷埋積期に,現在よりも緩勾配な支流河床が成立していた可能性が指摘された.また,上位のテフラほどやや緩勾配化しており,おそらく本流の河床上昇に伴って支流が緩勾配化し,閉塞された可能性も指摘された.また,珪藻分析の結果,一部は珪藻が検出されず堆積環境を推定することは難しかったものの,相模川・秋川流域の支谷内には,約9~10万年前頃に湿地のような環境が成立していた可能性が指摘された.また,本流ならびに支流の段丘堆積物の年代決定や本流河床上昇速度推定のために,段丘堆積物中の砂礫を持ち多OSL年代測定や,木片を対象とした放射性炭素年代測定を依頼・実施した.加えて,東北地方の磐井側では現地調査を実施し,支流性扇状地を由来とする可能性のある段丘面の地形・地質調査を実施した.上記に示した成果の一部は,日本地形学連合大会2023年大会および日本地理学会2023年春季学術大会などで発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相模川においては,本流河床上昇期における支流閉塞の可能性を議論する上でに関して,一定の資料や成果が得られたものの,現地調査が予想以上に時間を必要としたことや,使用予定であったテフラ分析装置(SEM-EDS)の不調,ならびに初年度の新型コロナウイルスによる影響に伴う遅れも重なり,当初の予定である複数の河川での段丘発達史を復元が達成できていないことから「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後,相模川において,OSL年代やテフラ対比による本流の河床上昇速度の推定や,追加の珪藻分析用試料の採取・依頼などを進め,補足データを揃えたうえで本年度中に論文投稿することを目標として研究を進める予定である.また,相模川以外の河川上流域での調査も2023年度中に実施したい.さらに,研究成果は今後,国内学会だけでなく国際学会で学会発表し,国内外の河川地形・第四紀学の研究者と意見交換・情報交換をおこない,より一層研究を加速させたい.
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