研究課題/領域番号 |
21K13159
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
中窪 啓介 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教 (20898902)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ジェネラルサーベイ / 協同組合 / 産地 / フィリピン / マンゴー / ポストコロナ / 産地形成・再編 / 熱帯果樹 / 高付加価値作物 / ポスト緑の革命時代 / 地理的表示保護制度 / 産地形成 / サプライチェーン / 途上国農業・農村 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はフィリピンの2つの主要マンゴー産地を対象とし、輸出事業を見据えた産地の供給体系の組織化について明らかにする。第1の産地のギマラス州では、同州産の生鮮マンゴーが地理的表示保護制度において国内初の登録品目となった。登録により産地では品質管理制度が構築され、供給に携わる各主体の生産・出荷面の組織化が図られている。第2の産地のパンガシナン州は、国内の首位産地であるが、近年では虫害による生産低下が顕著である。これに対して、生産者や卸売業者が協同組合を創設し、組織的販売を通じて産地復興を目指している。本研究ではこうした取り組みの実態とともに、それが産地の各主体に及ぼす社会経済的な影響を検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度の主な研究実績は,本研究の調査対象地の一つであるパンガシナン州に滞在し,ジェネラルサーベイを実施したことにある。第1に,同州における前回の現地調査は新型コロナウイルス感染症の流行前の2019年であったため,今回の調査では2020年からの全国的なロックダウンによってマンゴー産地・経営体等が被った影響と,ポストコロナにおけるその展開を概括的に把握した。具体的には,州政府から関連統計や内部資料を入手するとともに,農業課の担当者と産地の主要な供給業者に対して聞き取り調査を実施した。 第2に,産地の供給体系やその組織化の中心である,マンゴー関連主体の協同組合について調査した。パンガシナン州では従来から1組合が形成されていたが,新しい組合を創設することが前回の調査で明らかとなった。これら両組合の活動状況や取り決め等に関して,組合長や州農業課の担当者等から聞き取り情報や内部資料を入手した。また,次回の現地訪問時に実施を予定している協同組合員へのアンケート調査に関して,関係者と手順を検討した。 第3に,2024年度に実施を予定しているバランガイ(集落)レベルでのマンゴー経営体の個別調査に向けて,パンガシナン州内の主要なマンゴー生産地域である5つの町・市の役所を訪問した。各役所では,調査地の選定や概要把握,調査項目の検討のために,基礎資料・統計を入手するとともに,農業課の担当者に聞き取り調査を実施した。 以上に加えて,近年の新しい動向の一つである有機農業の実践に取り組む,先進的なマンゴー経営体の農園を視察し,その経営方針や取引関係について聞き取り調査を行った。今後,こうした需要の高まる分野に対する経営体の個別的対応,産地の組織的対応を検討してゆく必要性があるという示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて,2021年度・2022年度にフィリピンでの現地調査が実施できなかったため,研究に遅れが生じた。本年度から現地調査を再開し,来年度には本研究テーマの調査に区切りをつけられる段階まで遅れを取り戻した。
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今後の研究の推進方策 |
1)本年度のパンガシナン州でのジェネラルサーベイを通じて得られたデータの整理・分析を進める。 2)上記1)の一部を通じて,2024年度の調査集落・調査項目を確定させ,現地調査を実施する。 3)2024年度の調査結果に基づいて英語論文を投稿する。
※なお,2022年度の実績報告には,コロナ禍で生じた現地調査の遅れを取り戻せない場合を想定して,宮崎県のマンゴー産地に関する比較研究を掲げていた。これに関しては,本年度の現地調査の進展により,本研究の射程から除外する。
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