研究課題/領域番号 |
21K13167
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 静岡大学 (2022-2023) 立命館大学 (2021) |
研究代表者 |
彭 宇潔 静岡大学, 人文社会科学研究科, 講師 (70791218)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | コミュニケーション / 狩猟採集民 / アフリカ熱帯林 / 集団活動 / 生業活動 / アフリカ / 民族誌データベース / 資源利用 / 民族間関係 / アフリカ研究 / 集団行動 / 地域間比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はカメルーン東南部熱帯雨林の二つの地域を事例に、地域の社会的環境と自然環境の変化を時間軸に再整理し、各種の生業活動における集団行動の分析結果にもとづいて、地域間の比較を通してその要因を探求する。そのために、両地域において、狩猟採集民と農耕民の両方を調査対象にし、1)民族誌資料とGISを活用した活動範囲の把握、2)資源を利用するときの集団活動に対する相互行為分析、3)資源利用活動における狩猟採集民と農耕民の共通点・相違点および相互作用を明らかにする。本研究課題を通して、変化する社会的環境と生態学的領域の中で民族間関係はどのように変化するかを知るための、動的で立体的な分析の手法が提供する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域の景観変化および生業内の集団行動を分析し、現代の狩猟採集民と農耕民の関係に多様な変化が生じる要因を再検討することである。具体的には、カメルーン東部州の両地域において、狩猟採集民と農耕民の両方を調査対象にし、1)民族誌資料とGISを活用した活動範囲の把握、2)資源を利用するときの集団活動に対する相互行為分析、3)資源利用活動における狩猟採集民と農耕民の共通点・相違点および相互作用を明らかにする。この三つの観点を用いることで、現代における狩猟採集民と近隣民族の関係の多様性についてより立体的に分析する。2022年度から2023年度までは、森林地域を頻繁に利用する大乾季(12-1月)に、①活動範囲の把握のために移動ルートの情報収集を1回おこなう。第3年度は野生果実の採集期から焼畑の火入れまでの小乾季から大雨季に移る時期(8-9月)と大乾季に、②資源利用時の集団活動の事例収集を2回おこなうことを計画当時に予定していた。コロナ禍及びウクライナ戦争により、渡航が困難であったり、航空券が口頭したりする原因で、2023年8月から9月までの40日間しか現地調査できなかった。主には、360度カメラを用いた活動記録と日常生活及びライフヒストリーに関する調査を、森林部(奥)の焼畑農耕民たちと森林部(町)の狩猟採集民と焼畑農耕民を対象に実施した。現地調査以外に、カメルーン地理院で最新版地図データの購入など資料収集を実施した。また、過去に収録した森林での集団活動に関する映像を分析し、狩猟採集時におけるコミュニケーションの実態と、2023年のデータを含めた畑仕事時の集団活動の複合性について、それぞれ1本英語論文を執筆した。中では1本は受理済み印刷中で、もう1本は投稿済み査読段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年から2022年にかけてCOVID-19の流行による渡航難に続き、ウクライナ戦争による資源(石油)価格の高騰によって、当初計画していた2年目と3年目に実施すべき現地調査(計3回で約3ヶ月)ができなくなり、2023年夏に1ヶ月余りの現地調査に短縮せざるを得なかった。過去のデータではたまたま、ある程度予定した分析はできて論文も書けたが、想定したデータほど充実していなかったため、予定通りに研究は進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定した最終年度(2024年)に最後の現地調査のために渡航経費を残した。ただ、航空券価格は依然として高額であるため、予定よりかなり短期間に現地調査をせざるを得ない。また、現地の調査助手との連絡手段もかぎっており、現地の通信環境が不安定であるため、遠隔リモート調査もほぼ不可能である。最後の現地調査では、10日間程度で森林部(奥)を主にして、狩猟採集民の畑関連生業活動について追跡調査を実施するほか、狩猟採集民と農耕民に定住村と利用可能な森林に関して2017年から2023年までの変化を聞く。 そのため、総括を予定した最終年度では、現地調査を中心に実施することに変更し、総括と論文執筆等の成果発信は残りの時間、必要に応じて1年延長することも想定する。
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