研究課題/領域番号 |
21K13172
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
金子 祥之 東北学院大学, 文学部, 准教授 (10758197)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 極小集落 / レジリエンス / 歴史民俗学 / 集落祭祀 / 集落共同 / 環境史 / 災害 / 資源利用 / 公共民俗学 / 過疎化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、何ゆえに極小集落が存続し続けることができたのか/あるいはできているのかを、民俗学的なアプローチにより明らかにする。すなわち、人口規模が極端に小さな集落が発揮するレジリエンスを、生活者の立場から解明する。現代の日本社会では、人口規模の小さな集落は統廃合の対象としてみなされ始めている。たしかに極小集落には、のちに廃村に至るものがあり、存続可能性が乏しいように見受けられる。しかしながら、小規模であるにもかかわらず、存続し続けてきた集落があることも確かである。本研究では、小さな集落のレジリエンスを通時的・共時的に分析し、生活者の立場からとらえた村落社会の存続論を展望する。
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研究実績の概要 |
本研究は、何ゆえに極小集落が存続し続けることができたのか/できているのかを、民俗学的なアプローチにより明らかにすることを目的としている。 この目的を明らかにするため、今年度も昨年度に引き続き、東北地方での調査を実施した。当初計画では東北地方以外との比較も念頭に置いていたが、遠方への出張が難しい状況が続いていたため、福島県内の調査(川内村・浪江町津島・檜枝岐村)を重点的に実施する昨年度の判断を今年度も維持した。また調査方法としても、昨年度に引き続き、地域に残された資料を使った分析を中心とし、くわえて高齢者への聞き取り調査に取り組み始めた。 コロナ禍でさまざまな制約があった、研究内容についても、昨年度に引き続き小さな集落の共同がどのように行なわれてきたのかを、歴史的に分析していった。今年度は、とくに集落祭祀と生活変化をテーマに設定し、近代~現代にかけての集落共同の変化についての分析を行なった。加えて、新たな取り組みとして、民具調査を実施した。民具を調査することで、近代~現代にかけての生活変化をとらえようとした。 集落祭祀に関しては、小さな集落の祭祀が震災を契機にほとんど休止・廃止されている現実が明らかになった。昨年度の調査では、集落祭祀の継承が模索されていることから、やや楽観的な見通しをもっていたが、全数を考えるとそうした実践はごく一部にとどまっていることがわかった。そうであったとしても、本研究の目的に照らして、こうした新たな模索に光を当てていきたいと考えている。 また民具を通した調査では、地域で生き抜くため、地域資源を活かしたさまざまな生業が考案されてきたことが、道具の変化から見通すことができた。他方で、環境保護意識の高まりや政策的動向から、そうした新たな生業を興すことが困難になりつつあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、コロナ禍での調査研究となった。しかし、研究の方法や対象については、昨年度の段階ですでに見直しを行なっていたため、この方針のもとに、スムーズに研究に取り組むことができた。 いまだ医療資源の乏しい小さな集落に出かけ、高齢者に対してインタビュー調査を行なうのは、困難な現状ではあるものの、実現可能な方向性を探り出し、研究課題遂行にあたって必要な研究を実施することができたといえる。 そのため当初の想定とは、異なるところがあるものの、研究の進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、研究対象を近県に限定し、方法についてはインタビュー調査から資料調査へと変更して実施した。 コロナ禍になってから、ようやく明るい見通しが示されつつあるが、次年度以降に関しても、どのような社会条件のもとで調査研究を実施することとなるのかはっきりとしない部分もある。そのため、引き続きインタビュー調査が困難な状況であれば、今年度の対応方法をベースに継続した調査を実施する。反対に、状況が改善し、インタビュー調査が可能な状況であれば、まずは近県に限定したかたちで調査を実施してゆきたいと考えている。
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