研究課題/領域番号 |
21K13182
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 (2023) 北海道大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
横堀 あき 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (80897570)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 地方自治 / 法治国家 / 明治期地方制度継受 / 公法学 / プロイセン地方自治制度 / 憲法学 |
研究開始時の研究の概要 |
憲法92条「地方自治の本旨」は立法の指針とされるが、これは憲法典が地方自治を規定した意味を十分顧慮できているか。例えば国・地方公共団体間の紛争は、当該文言に国を法的に拘束する文言が読み込まれてこなかったため、理論的には裁判所で解決され得るものでも、実際は政治的に「解決」されてきた。あり得る手法は、「本旨」に法的拘束力を持たせ、地方自治を国家権力の濫用を防止する制度とすることである。これはわが国が参照したドイツの構想に依るものである。しかしこの視点は明治期の解釈も採用したとされる現在の解釈では欠落している。この理由を探るため、本研究は19世紀ドイツ地方自治構想と明治期の制度継受の議論を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、憲法92条「地方自治の本旨」の規範的意義として、国家権力濫用防止の観点が必要ではないかとの問題意識に基づき、大日本帝国下の地方制度導入に多大な影響を与えたとされるドイツ地方自治制度にかかる理論を検討するため、令和3年度から開始された。 本年度は異動に伴う資料・時間上の制約が存在したため、前年度までに積み残されていたドイツにおける理論の検討よりも、日本の論者に関する先行研究や資料の収集と分析に重点を置いた。近年、近代日本政治思想史等の分野において研究の刷新が随所に見られ、山縣や井上毅といった地方制度に関して影響を有する人物の思想と意見の連関を改めて調査する必要性があると指摘されてきた。以上を踏まえつつ法治国家の形成という観点から検討を進めた結果、論者ごとの国家観の検討も必要であることが判明した。この点については、当時有力であった国家有機体説にかかる研究の把握に着手したところである。現段階では業績としてまとめることができていないが、延長の承認を受けることができたため、ドイツにおける理論の問題と併せて、引き続き検討を進める予定である。 加えて、本年度も引き続き、現在のドイツにおける地方自治理論の検討作業も行った。ドイツでも地方自治保障を考える上では歴史的な観点が重視されているところ、近年、地方自治体のデジタル化と地方自治保障の関係が争点となっていた。かかる点について近年公刊された博士論文を検討した。ドイツでは連邦制の観点からの問題が主であるとされる傾向があるものの、地方自治体の事務の増大もあり得るとの指摘もなされている。日本流の制度的保障説では、ドイツと比較してもより歴史的観点が重視されているようにも思われるため、地方自治保障のあり方にかかる日独比較のためには更なる検討が必要であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記【研究実績の概要】にあるように、所属研究機関の異動に伴い、法学・政治学関連の最新資料や研究動向の把握に時間を要することになったこと、研究計画時には十分把握できていなかった先行研究の把握が必要であったため、研究の準備作業に要する時間が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
上記【研究実績の概要】にあるように、今後はドイツにおける地方自治理論のまとめ、日本における国家学継受の動向を踏まえた地方自治・法治国家に関する意見との連関に関する検討をまとめる。
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