研究課題/領域番号 |
21K13191
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
巽 智彦 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (10609126)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 公法訴訟 / 行政訴訟 / 憲法訴訟 / 要件事実論 / 職権探知主義 / 判決効 / アミカス / 審理 / 裁判 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、公法訴訟の審理および裁判に関する諸論点について、日独の比較法により、公法学のみならず訴訟法学の見地から立ち入った分析を行い、法学分野横断的な理論を構築するとともに、実務に対する具体的な提言を行うものである。具体的には、公法訴訟の「審理」と「裁判」のそれぞれの諸論点、たとえば弁論主義/職権探知主義、証明責任、アミカスのような特殊な証拠方法、裁判による紛争解決の主体的、客体的、時間的範囲を、訴訟法理論および実務との対話に耐えうる形で検討し、もって「公法訴訟論の(再)構築」の道筋を示そうとするものである。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、公法訴訟の審理および裁判に関する諸論点について、公法学のみならず訴訟法学の見地から立ち入った分析を行い、憲法学、行政法学、訴訟法学の分野横断的な理論を構築するとともに、実務に対する具体的な提言を行うことにある。 1.審理の問題としては、(ア)裁判所と当事者の役割分担の問題(事実問題については弁論主義と職権探知主義の対抗関係、法問題についても、法的観点指摘義務の議論)、(イ)裁判所がある問題について判断を下す際に依拠すべき基準に関する問題(事実問題については証明責任、法問題については「論証責任」、両者に密接に関わる「解明責任」)、(ウ)証拠法に関する問題(いわゆるアミカス・キュリエや、法務大臣権限法4条に基づく法務大臣の意見提出、行政庁の訴訟参加など)のいずれについても、2021年度に引き続いて文献の調査を行った。その結果、いずれについても、民事訴訟法学の基本的な概念構成と、公法学(特に憲法訴訟論)に特有の概念構成との接合が課題であるとの理解を深めた。 2.裁判の論点としては、紛争解決の範囲として裁判の効力の範囲を捉えたうえで、それを主体的、客体的、時間的範囲に分解して考察を進めているところ、2021年度に引き続いて文献の調査を行い、EU裁判所の判決の効力に関する研究の蓄積がドイツに存在することを突き止めた。 この間、以上の1に関わる業績として、(a)選挙関係訴訟の訴額の算定における主張利益の共通(最三小決令3・4・27)を公表した。また、以上の1.2.の双方に関わる業績として、(b) 公法訴訟論の再構築――あるいは二つの「比較法」 を公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の考察手法は、主として比較法によることとしており、具体的な対象国は、主としてドイツを予定しているところ、ドイツで近時公刊された重要論文はすべて入手でき、順調に購読を進めている。ドイツの文献の調査の結果、民事訴訟法学の基本的な概念構成と、公法学(特に憲法訴訟論)に特有の概念構成との接合が課題であるとの理解を深めたが、この点に関しては、上記業績(b) 公法訴訟論の再構築――あるいは二つの「比較法」によって、若干の見通しを示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は引き続き関係文献の調査、講読に当てつつ、関係する論文の執筆にとりかかり、2024年度をめどに公表を進める予定である。新型コロナウイルス感染症の蔓延状況や、ウクライナ-ロシアの戦争状況が落ち着き、ヨーロッパとの往来が再び大きな支障なく可能となった暁には、海外での文献収集も再開したい。さしあたり、2023年4月末に、ドイツ・ハイデルベルク大学でのシンポジウムに参加し、本研究課題に関する小論を報告する予定がある。
|