研究課題/領域番号 |
21K13202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 (2022-2023) 同志社大学 (2021) |
研究代表者 |
岡村 優希 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 講師 (50823093)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 労使自治 / EU労働法 / 自治的規範 / 経営関与 / 労働法規制 / AIの社会実装と労働法 / 従業員代表 / 労働法規整 / 基本権規範 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、EU法における労使自治の解明を行った上で、日本法に対する立法上・解釈上の示唆を得ることを目的とする。労使自治の機能低下が指摘されているが、本来的に、労使自治は多元的性格を有し、多様な機能を果たしうる。EU法を見ると、体系的な制度設計が採用され、組合の団体交渉による労働条件の決定に加えて、立法の制度設計を行う公的な機能や経営上の意思決定への関与を行う私的な機能が認められている。これによって雇用関係・労使関係の自治的な運営が行われ、労使の最適な利益調整が可能となっている。本研究では、EU法の研究を通じて労使自治の多元的性格を明らかにしつつ、その議論の日本法への応用可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、EU法における労使自治の検討を通じて、日本法に対する立法上・解釈上の示唆を得ることを目的とするものである。EU法においては、労使自治について体系的な制度設計が採られており、組合の団体交渉による労働条件決定や労働者の代表機関を通じた経営関与による私的領域での労使自治、及び、労働立法の過程に関与するという公的領域での労使自治の双方が存在する。これらのうち、本年度は、前者の私的領域での労使自治の検討に注力した。具体的には、EU企業譲渡指令を取り上げ、企業再編という使用者側の経営裁量が先鋭になる場面において、そのような経営裁量と労働者利益をいかに調整するのかを検討した。この点、労働者保護を優先してきたEU司法裁判所の姿勢に変化があり、使用者側の事業活動の自由・契約の自由(EU基本権憲章16条)を保護する観点から労働者保護を後退させた事例が登場している。そのような展開を理論的に把握すると共に、学説における批判を検討することで、経営裁量と労働者保護のバランスの取り方についての示唆を得ることができた。その上で、今年度はEU法の知見を日本法の解釈にどのようにして摂取するかについても検討した。その際、労働者保護に手続的な側面からアプローチするという方向性に加え、経営関与局面における従業員代表法制が、近年社会実装が進み、法的紛争を生じさせつつあるAIのガバナンスの手段としても機能しうることを明らかにした。この意味において、本研究課題の現代的意義の整理も行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に照らして順調に検討が進んでおり、その成果を研究会で報告するとともに、論文誌に論文を掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にしたがい、EU法における労使自治について、さらに詳細な検討を行う。それと並行して、最終的な比較法的考察に備えて、我が国における労使自治・経営関与・従業員代表制についての検討も行う。
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