研究課題/領域番号 |
21K13203
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
呉 柏蒼 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (50895555)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 仮釈放 / 受刑者 / 刑務所 / 刑事政策 / 台湾 / 不服申立 / 権利説 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、仮釈放申請段階で受刑者を主体的に関与させるような取組みの可能性を検討し、提案を行うものである。仮釈放の審理は刑事施設側の地方更生保護委員会に対する申出により開始され、仮釈放を許す審理決定が為されなくても、これに対する異議の申立て制度が設けられていない。しかし、仮釈放を受刑者の更生を図る手段として理解すれば、こうした現状を再検討する余地があり、社会内処遇により更生の可能性のある受刑者を見出す観点からは尚更である。刑の執行の長期化・受刑者の高齢化が顕著になっている昨今において、現制度への検討を行う時期が来ていると言うべきであり、当研究成果は仮釈放政策論としての参考材料になるであろう。
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研究成果の概要 |
本研究は、仮釈放における受刑者の関与の可能性について、比較法的検討を行い、日本制度への示唆を抽出した。本研究は、比較対象となる台湾の仮釈放について、その制度の概要と判断基準をまず確認し、台湾の仮釈放判断基準は受刑者の再犯危険性と社会的感情に偏っている状況や政策的要素が許可基準を侵食する恐れがあることを指摘した。また、不服申立制度である覆審制度を分析しつつ、司法院大法官の二つの解釈を切口にして、台湾での仮釈放の権利をめぐる議論を検討し、受刑者の仮釈放審査への関与は必ずしも権利論を前提にすべきとは限らないという知見を得た。日本法の政策的議論の場面において、これらの研究結果は参考になると思われる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は仮釈放における受刑者の関与の可能性について、海外制度を参照しつつ、政策的議論に供しうる視座を提供した。特に刑の長期化・受刑者の高齢化が顕著になっている昨今において、仮釈放の意義を高めるための議論として、本研究は高い意味を有している。また、日本での仮釈放制度に関する研究は欧米制度との比較検討が多く、アジア圏との比較検討が殆ど行われてきていない現状において、本研究は、日本法の影響を受けて近年に独自の進化を遂げた台湾法を取り上げて検討を行った点で、高い学術的意義を有していると評しうる。
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