研究課題/領域番号 |
21K13210
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
佐竹 宏章 青山学院大学, 法学部, 助教 (30844146)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 背任罪 / 特別背任罪 / 起訴裁量主義 / 起訴法定主義 / 検察審査会 / 不審判請求 / 腐敗犯罪 / 公務員犯罪 / 付審判請求 / 財産犯 / 経済刑法 / 国公有財産 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,国家や地方公共団体の内部から、国有財産や公有財産の処分の適正性を害する場合の刑事法上の対応について、解釈論及び立法論の観点から検討を行う。第一に、背任罪の保護法益に「国家」や「地方公共団体」の財産をも含むかについて検討を行う。第二に、どのような場合に公務員が国有財産や公有財産を処分することが裁量逸脱になり、背任罪の任務違背が認められるかを検討する。第三に、ドイツで議論されている「財政背任」の議論を参考にして、この種の事案で背任罪の「財産損害」が認められるかを検討する。これらの検討を踏まえて立法論として、公務員を主体とする特別背任罪を新設する必要があるか否かについて検討を行う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に研究計画に組み込んだ手続法に関連する研究(特に刑事訴追制度、刑事司法システムの在り方などの検討)を中心に行った。 この研究に関連して、第一に、2022年8月30日の刑法読書会2022年度夏季集中例会(第606回例会)にて、マルク・ダイタース『起訴法定主義と規範妥当』(Mark Deiters, Legalitaetsprinzip und Normgeltung, 2006)についての文献報告を行った。この文献報告に関連して、刑事訴追制度と刑罰論の関係性について検討を行った。第二に、2022年10月15日の日本犯罪社会学会第59回大会のテーマセッションA「犯罪と被害者保護―刑事法の具体的規定および解釈から見る犯罪社会学の発展」において、「刑事司法における『被害回復』の位置づけ―財産犯を念頭に置いてー」という報告を行った。この報告において、民刑の分化から、刑罰制度の目的、不法行為に基づく損害賠償制度の目的を検討し、財産犯における「被害回復」がどのように扱われるべきか検討を行った。第三に、これらの報告を基にして執筆した「軽微な窃盗事犯における行為後の被害回復」という論文を、立命館法学405/406号に寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、手続法に関連する研究(特に刑事訴追制度、刑事司法システムの在り方などの検討)を中心に行い、それに関連する学会報告、論文公表などを行うことができた。この部分に関しては当初の想定よりも順調に進んでいる。 実体法に関連する研究に関しては、2021年度に引き続きわが国の背任罪や特別背任罪に関する法制史や議論状況の検討、ドイツの財政背任に関連する議論状況などの文献調査及び検討を行った。この部分の研究成果は2023年度以降に公表していく予定である。 そのほかに、両研究において「裁量統制」(検察の訴追裁量、公務員の国公有財産の処分の裁量)が重要であるので、行政法の裁量統制に関連する文献調査なども行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、第一に、実体法に関連する研究として、公務員が国公有財産を廉価で処分する際に、背任罪の「任務違背」をどのように判断するかを明らかにする。この際に、これまで調査してきたドイツの財政背任に関する議論を基にして展開していく予定である。 第二に、研究の進捗によって、手続法及び実体法に関連する研究において、行政法における「裁量概念」(覊束裁量や自由裁量)や「裁量統制」(とくに判断過程統制)が重要であると整理できたので、これらについて調査・分析を行い、両者の研究に展開する予定である。
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