研究課題/領域番号 |
21K13211
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 愛知大学 (2022) 大阪経済法科大学 (2021) |
研究代表者 |
岩崎 正 愛知大学, 法務研究科, 准教授 (90757915)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 違法収集証拠排除法則 / 公訴権 / 違法捜査 / 手続打ち切り論 / 当事者適格 / 越境リモートアクセス捜査 / 刑事手続打切り論 / サイバー犯罪捜査 / 訴訟手続濫用法理 / 刑事手続打切り |
研究開始時の研究の概要 |
捜査手続に違法がある場合、一般的に議論されてきた法的論点は、違法収集証拠排除法則に基づき当該証拠の証拠能力が認められるか否かと、違法捜査に基づく手続打切りが認められるか否かであるが、これらは独立して検討されている。しかし、イギリスでは、わが国の違法収集証拠排除法則に対応する「不公正証拠排除」の根拠論に対して、わが国の刑事手続打切り論に対応する「訴訟手続濫用法理」に基づく手続打切りの議論が影響を与えている。 そこで、本研究は、このイギリスにおける議論状況を参考に、違法捜査が行なわれた場合におけるわが国の手続打切り論が、違法収集証拠排除法則の根拠論にいかなる影響を与えうるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の最終的な到達目標は、わが国において違法捜査が行なわれた場合における手続打切り論が違法収集証拠排除法則の根拠論にいかなる影響を与えうるかを明らかにすることであった。その目的達成のために、①イギリスにおける訴訟手続濫用法理の展開が不公正証拠排除の根拠論にどのように影響を与えたのかを整理し、②その結果、わが国の刑事手続打切り論と違法収集証拠排除法則との関係にいかなる示唆を受けることができるのかを検討することになる。 本年度は、①に関して、イギリスでの訴訟手続濫用法理に関する、新たな判例の展開について、検討した。とくに捜査機関側の違法な行為に基づく手続の打ち切りについて、いくつかの判例の展開をフォローした。また、②に関して、公訴権についてのアメリカの法哲学的観点からの論文を紹介することにより、公訴権や当事者適格の観点を手続打ち切り論においてどのように考慮すべきかという点につき大きな示唆を受けた。後者については論文紹介として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の達成目標は、昨年度に引き続き、わが国における違法収集証拠排除法則に関する議論を整理するとともに、イギリスにおいて違法捜査が生じた事例に訴訟手続濫用法理が適用された諸判例を分析し、同法理の根拠を見いだすことにある。その基礎理論として、公訴権や当事者適格についての外国語論文に接する機会があったため、同論文を検討し、多くの示唆を受けた。他方で、わが国の違法収集証拠排除法則に関する分析や、イギリスの訴訟手続濫用法理の展開を論文として公表する段階には至らなかった。その大きな理由として、研究代表者は、本年度、新たな研究機関に移籍することになったが、そこでの研究環境自体は、前年度までの環境に比べ、申し分ないものあった。しかし、同時に研究機関が法科大学院ということもあり、教育に関するエフォートの割合が予想以上に増加した。さらに重要なライフイベントが立て続けに生じたことも影響して、当初の想定していた時間が捻出できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に収集した資料・情報等をもとにして、イギリスでの訴訟手続濫用法理に関する論考、とくに捜査機関側の違法な行為に基づく手続の打ち切りについて、近時の判例の展開も含めて分析し、それをとりまとめて論文として公表する。また、2022年度において分析した越境リモートアクセス捜査に関する最高裁判例をもとに、最近の違法収集証拠排除法則に関する議論を整理・検討して論文として公表することを行いたい。いずれについても、既に公表媒体やそれに関する報告の場については、確定しており、ある程度、前年度までの遅れを取り戻すことが可能な状況にある。
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