研究課題/領域番号 |
21K13221
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
小谷 昌子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (80638916)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 自由診療規制 / がんの非標準医療 / インチキ医療 / EBM / 自由診療 / 非標準医療 / 医療に対する法規制 / Evidence-Based Medicine / 医師の裁量 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医師が提供するエビデンスに乏しい自由診療に焦点を当てる。第一に、過去の自由診療にまつわる健康被害事例等を整理・分析し、自由診療にいかなる危険があるのかを明らかにする。そのうえで現在用意されている事後的救済が十分といえるか考察する。 第二に、エビデンスに乏しい自由診療が孕むリスクにつき、いかなる法的対応が必要かを明らかにする。ここでは、医療が依拠するエビデンスやその法的評価という問題や、医師の裁量とそれに対する介入ともなりうる事前規制の関係といった問題についても考察する。そのうえで、事前的な規制が必要かつ可能であるといえるならいかなる事前的規制をとることが望ましいか検討し、提言する。
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研究実績の概要 |
本年度においては、当初の予定とはやや異なるが、悪性腫瘍に対し非標準診療が実施された事案に関する裁判例の分析をもとに、悪性腫瘍に対するエビデンスに乏しい診療に対する法規制の必要性などにつき論じた「科学的根拠に乏しい診療に対する事前規制の必要性」神奈川法学55巻1号53-92頁を2022年秋に公表した。ここでは、本研究課題がその主たるテーマとして掲げる「医師が実施するエビデンスのない自由診療の問題点を明らかにする」こととともに、そのような自由診療に対する法的事前規制の必要性を述べた。 また、本研究にて取扱う問題に関連し、診療を実施する者がなぜ医師免許を有する者に限られるのかをはじめとし、医の実践に対してその安全性を担保するために日本がどのような法規制(とりわけ事前規制)をしているのかもあわせて検討している。この一環で「医事法学の立場から──あらためていま、医行為を問い直す」年報医事法学37号44-52頁も2022年秋に公表した。ここでは、カナダ・オンタリオ州における、医療専門職規制法(Regulated Health Professions Act, RHPA)を中心とするシステムに言及し、よりよい医療の安全性担保のための法制度について考察する必要性を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響やその後の極端な円安という事情もあり、本来はアメリカもしくはカナダにて資料収集および調査を実施する予定を断念せざるを得なかった。とはいえ、日本における現状とその対策の必要性について論じることができたことにより研究自体は遅れながらも進められていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、日本における医療の安全性担保制度における自由診療の位置づけおよび医師がなすエビデンスに乏しい自由診療の問題につき、とりわけ悪性腫瘍に対する診療に着目して考察していく。本年度は、とりわけ、アメリカにおける同様の問題を参照しつつ、日本における法規制の在り方につき考えをまとめることを目標としたい。
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