研究課題/領域番号 |
21K13227
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 学習院大学 (2023) 金沢大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
横山 智哉 学習院大学, 法学部, 教授 (20806153)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | キュー / 政党ラベル / イデオロギーラベル / ヒューリスティクス / 党派性 / 無作為化コンジョイント実験 / 政党キュー / イデオロギー / ワクチン忌避 / サーベイ実験 / 実験政治学 / 政策選好 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、有権者が政治情報の不足分を補う際に依拠する手がかりとしての「キュー」が政策態度に与える効果を明らかにすることである。先行研究は政党や首相といった利用可能性が高い2種類のキューに着目し、有権者は各キューが表明する政策立場に依拠することで効率的な政策態度形成を可能にすることを明らかにしてきたが、「なぜ各キューが政策態度を形成するのか」というメカニズムを検討していない。そこで本研究は、政党や首相に関するキューの効果を別の要因による効果と弁別するサーベイ実験を行うことで、各キューが政策態度に与える因果関係を解明する。
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研究実績の概要 |
本課題の研究目的は、有権者が保有する情報量の不足を補い、効率的な意思決定や態度形成を可能にする手かがりとしてのキューがヒューリスティックとして機能する役割を実証的に解明することである。2023年度は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況が以前と比較すると落ち着いた状況であった。そのため、実験参加者にとってもCOVID-19などに代表される感染症のワクチン接種という題材は、すでに様々なメディアを通じた情報接触を経験しており、想定した処置効果が検出しにくいと考えられる。そこで、本年度は前年度に採用した題材から、より一般的な日常生活における会話他者の選択という意思決定を題材として政党およびイデオロギーがキューとして機能する可能性を検証する無作為化コンジョイント実験を実施した。 その結果、親密圏ではなくより一般的な会話状況においては、他者のイデオロギーが会話他者の選択に対してネガティブな処置効果を与えることが明らかとなった。しかし、その効果の程度は弱い。一方で、実験参加者全体あるいは長期的党派性を持たない無党派層において、特に他者の党派性に応じて会話他者の選択に与える効果が変化する可能性が実証された。 次に、上記の研究知見に基づき日本社会心理学会でポスター報告を行った。そして、その報告で得られたアドバイスに基づき論文の内容を改善した上で、国内の査読論文に投稿し、採択が決まっている。ただし、実際に論文が刊行されるのは2024年度である。 以上の研究業績に基づき、2024年度は人々の政治的意思決定および非政治的意思決定に与える政党や政治リーダー、あるいは人々の党派性やイデオロギーといった様々なキューの効果を検証する実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は新型コロナウイルス(COVID-19)が収束しつつある状況だったため、2022年度で採用していたワクチン接種という題材を踏襲することができなかった。一方で、日常生活における会話の選択という新たな題材を採用し、その題材に基づくコンジョイント実験を実施した上で、学会報告を行い、査読論文への採択が決まっている。したがって、本研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度で実施したサーベイ実験の知見を踏まえて、今後の研究では人々の政治的意思決定および非政治的意思決定に与える政党や政治リーダー、あるいは人々の党派性やイデオロギーといった様々なキューの効果を検証する実験を複数回実施する。このような実験を行うことで、多角的な観点から人々の政治的・非政治的意思決定に与えるキューのヒューリスティックとしての役割を解明する。また、以上のような実験を通じて、本研究で得られた実証知見の追試を行い、それらの妥当性を確認する。
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