研究課題/領域番号 |
21K13240
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
熊倉 潤 法政大学, 法学部, 教授 (60826105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 新疆 / 台湾 / トルコ / ウイグル / 中国 / ユーラシア / 清 / 中国共産党 / ソ連 / 少数民族 / 新疆ウイグル自治区 / 文化大革命 / 民族政策 / 政治過程 / 決定的分岐点 / 共産党 / 自治区 / 制度 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、新疆ウイグル自治区における少数民族の「再教育施設」(職業技能教育訓練センター)への収容に世界的な関心が集まっている。しかし、中国の新疆政策を扱った政治学的研究は意外なほど乏しい。中国の新疆政策は、いかなる過程を経て「反テロ」の特徴を強め、少数民族を「再教育施設」へ収容するまでに至ったのか。本研究では、1949年の中国共産党による少数民族の「解放」から、近年の少数民族の施設収容に至る新疆政策の変容過程を、同政策をとりまくアクター間の相互関係、制度、政治過程、決定的分岐点といった政治学の着眼点から多角的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の最初の主要な成果は、2022年度に『新疆ウイグル自治区:中国共産党支配の70年』(中央公論新社)と同書の繁体字中国語版『新疆:被中共支配的七十年』(鍾寧訳、台北:八旗文化)にまとめた。これを受けて、本(2023)年度は、国際シンポジウムでの研究報告、講演等を通じ、研究成果を社会に還元することに注力した。また同書のトルコ語版が2023年9月にトルコで刊行されたことに伴い、トルコでも国際シンポジウムでの研究報告、講演等を行った。これらを通じ、研究成果を広く世界に発信するとともに研究交流を発展させることができた。 研究交流の成果の一例として、Eric Schluessel(許臨君)氏の著作の繁体字中国語版に序文「推薦序:認識辛亥革命前的新疆必讀作品」を寄せる機会を得たことを記したい。氏の著作とは、2020年にコロンビア大学出版会から出版された、Land of Strangers: The Civilizing Project in Qing Central Asiaの繁体字中国語版『異郷人之地:清帝國在新疆的教化工程』(苑默文訳、台北:黑體文化、2023年12月)である。近年、台湾では、欧米、日本等における新疆研究の成果を、繁体字中国語に翻訳して出版する活動が活発になっている。欧米の研究者、台湾の出版関係者らと連携し、国際的研究の発展に多少なりとも寄与できたとすれば、望外の喜びである。 それから、国際的な発信だけでなく、日本国内での研究成果の還元も進めることができた。そのなかでも本年度のまとめとして、2024年3月9日にユーラシア研究所主催の総合シンポジウムでの講演を挙げたい。講演は「今振り返るソ連、中国」と題し、ソ連、中国の民族政策を振り返り、現下の新疆問題が形成された歴史的背景を論じた。講演の内容は2024年度中に同研究所発行の『ユーラシア研究』に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の通り、当初の計画になかった拙著のトルコ語版が出版されたことが理由として挙げられる。研究成果の社会への還元も進められた。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、研究成果の発信を続けていきたい。日本語、中国語、トルコ語で本研究の最初の主要成果物を出版できたため、これにもとづき、今後、研究交流を活発に行い、講演、口頭発表等を通じ、研究成果を広く日本社会及び国際社会に還元したい。 第二に、今後の新疆ないし中国周辺地域の情勢の変化、それから中国の民族政策の変化についても、これまで以上に注意深く観察し、継続的に分析を行っていきたい。
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