研究課題/領域番号 |
21K13253
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
吉沢 晃 関西大学, 法学部, 准教授 (90743857)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | EU / 競争政策 / 国家補助 / パンデミック / ガバナンス / 政策変容 / コロナ |
研究開始時の研究の概要 |
EU(欧州連合)は競争政策の一環として「国家補助規制」を行っている。国家補助規制とは、加盟国間で過度の補助金競争が起こることを防ぐため、各国政府の産業支援策を事前に審査する政策である。この政策は、2008年に世界金融危機が起こった際に一時的に緩和されたが、根本的には変化しなかったことが先行研究で指摘されている。しかし、コロナ危機の影響も同様に一時的・限定的であるかどうかは、まだ十分に明らかにされていない。そこで、本研究はコロナ危機がEUの国家補助規制に与えた影響を明らかにすることを目指す。その際、特にガバナンスの形態の変化と継続性に着目する。
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研究成果の概要 |
EUは競争政策の一環として国家補助規制を行っている。国家補助規制とは、加盟国間で過度の補助金競争が起こることを防ぐため、各国政府の産業支援策を事前に審査する政策である。2020年初頭にパンデミックが起こると、EU加盟国から欧州委員会への補助計画申請が急増した。
そこで本研究では、パンデミックという危機によって、EU国家補助規制の政策形成過程が大きく変化したのかどうかを実証的に明らかにした。分析の結果、欧州委員会は2008年の世界金融危機のときと同様、あくまで一時的な規制緩和を行ったことが分かった。パンデミックはEU競争政策の形成過程の根本的変容ではなく、部分的・一時的な適応につながったと言える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、EU研究に2つの面で貢献した。第一に、パンデミックという危機が起こったにもかかわらず、国家補助規制の基本的な仕組みが変化しなかったことを示した。これは、欧州経済統合の要である「域内市場」での競争環境について考えるうえでも重要な知見であると思われる。第二に、EU復興基金(次世代EU)の創設過程はすでに政治学的観点から研究されているが、国家補助規制の分野における欧州委員会のパンデミック対応は、今回の研究で初めて明らかになった。EUの国家補助規制は欧州各国企業に与える影響が非常に大きい。したがって、その最新動向を知ることは、EU市民のみならず日本に住む人々にとっても重要であると言える。
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