研究課題/領域番号 |
21K13257
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
山本 翔平 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特任講師 (90895814)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 時間選好 / クロスモダル効果 / フロントエンドディレイ / 仕事に関する意思決定 / Time preferences / Cross-modal decisions / Effort / Effort tasks |
研究開始時の研究の概要 |
How patient are we when choosing between one type of outcome sooner, versus a different type later, such as a holiday now versus retirement income? My experimental studies address this unanswered question in intertemporal choice research and provide theoretical conclusions and policy implications.
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研究実績の概要 |
同一のオブジェクト(例えば今日と2ヶ月後のテレビ)および異なるオブジェクト(今日のテレビと2ヶ月後の旅行)間の時間選好の比較における忍耐の差異を探求する研究は順調に進んでいる。先行研究は主に被験者間の実験デザインを用いてクロスモダル効果を確認していたが、本研究では被験者内デザインを採用し、日本人サンプルを用いたオンライン実験でこれを検証した。その結果、クロスモダル効果が観察され、特に金銭に関する時間選好においてアメリカ人サンプルに比べて有意に低い割引率が示された。また、フロントエンドディレイを導入した実験では、この遅延がクロスモダル効果に影響を与えることが明らかになり、効果の頑健性が確認された。 さらに、別の実験では、2種類の仕事を設定し、クロスモダル効果を仕事に関する意思決定でも検証したところ、同一の仕事に対する選択であっても全く割引率が観察されず、予想外の結果となった。そこで、時間選好ではなく、仕事の完了期限(24時間以内か1週間以内)に関する締切の選好に実験を変更したプリテストにおいては、クロスモダル効果が示唆された。 この興味深い発見は、Workshop on Theoretical and Experimental Economicsでの発表機会により、意思決定の専門家から多くのフィードバックを得ることができ、新たな研究アイデアを生み出した。 現在はプリテストで行ったインセンティブ付きの意思決定を取り入れた実験を行うために実験デザインをアップデートしている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記で要約したフロントエンドディレイと被験者内デザインでのクロスモダル効果を発見したプロジェクトは、2023年8月にSPUDMという世界で一番有名な意思決定の学会の一つで、Extended talkのスロットで発表し、共著者であるDaniel Readとは数年ぶりにこの学会で会い、貴重な議論を交わすことができた。現在、結果をまとめて論文を書いている最中である。 さらに、上記で触れた仕事に関する意思決定でのクロスモダル効果の実験は予想外の結果が出たものの、結果自体とても興味深く、完了期限をつかった全く新しい研究を思いつく糧となった。私たちの仕事に関する意思決定では締切日が重要な要素である。しかし、このプリテストの結果は、クロスモダル効果により締切の効果が弱くなっていることを示唆し、今後の頑健な実験デザインで行う本実験により、全く新たな知見と、実践的な示唆を明かすことができる潜在性があり、この論文も世界トップクラスの論文誌に掲載できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、仕事に関する意思決定のクロスモダル効果の本実験を行う。また、そのクロスモダル効果がAttentional Dilution theoryによって起こっているのかを確かめるために、実験デザインを慎重に作成する必要がある。具体的には、他のMere deadline effectなどのほかのメカニズムで説明できてしまうようなデザインを避ける必要がある。また、本実験ではインセンティブを付けるので、実験プラットフォームで参加者が実際に仕事を完了しているかチェックし、完了している参加者のみに報酬を与えるデザインにするため、JavaScriptなど、複雑なコーディングが必要となる。 本実験を完了し分析が一通り終わったら、国際学会やワークショップなどで積極的に発表する予定であり、世界的な研究者から有用なフィードバックをもらいながらよりよい研究へとブラッシュアップし、世界トップクラスの論文誌に掲載できるよう執筆する予定である。
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