研究課題/領域番号 |
21K13258
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
相馬 尚人 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50897543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 流動性の罠 / 財政政策 / 金融政策 / デフレ均衡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2種類の流動性の罠(Fundamental-driven Liquidity TrapとExpectations-driven Liquidity Trap)のいずれの下でも頑健に効果を発揮する政策を明らかにすることにある。経済がいずれの流動性の罠に陥っているかをデータから識別することは困難である上に、それぞれのケースで推奨される政策は正反対の性質を持っているため、判断を誤ったうえで政策を実行するとかえって逆効果になりうる。本研究では、そのような失敗のリスクを避ける新たな政策手法について、経済モデルを用いて定性・定量的に分析する。
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研究実績の概要 |
前年度は標準的なNew Keynesianモデルを用いてFundamental-driven Liquidity Trap(FLT)とExpectations-driven Liquidity Trap(ELT)という2種類の流動性の罠の発生をモデル上で再現した。その上で、政策決定者から見てこれらの2つの罠の識別が困難であることを確認した 事業期間2年目にあたる2022年度は、このモデルにTime-to-buildラグを伴う公共投資政策を導入し、政策の含意を確かめた。結果として、経済が上記の2種類の流動性の罠のどちらに直面しているかに依存して政策の効果が大きく異なることが確認された。現時点ではトイ・モデルによる定性的な分析に留まっているため、さらに定量的な分析を行ったうえで論文としてまとめる必要がある。 加えて、サブプロジェクトとして、新聞記事で報道された物価変動に関するニュースに対する日本の家計の予想インフレ率の反応を「消費動向調査」のパネルデータを用いて分析した。結果として、(1)日本の家計の予想インフレ率は家計が普段購入するような身の回りの財・サービスの物価に関するニュースに強く反応する傾向があるものの、消費者物価指数の水準に関するニュースや金融政策の変更に関するニュースにはあまり強く反応していないこと、(2)とくに自身の予想インフレ率を上昇させるようなニュースに対して家計の予想インフレ率は過剰反応をしていること、の2点が明らかになった。なお、成果はゆうちょ財団の機関誌である季刊『個人金融』で公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メインプロジェクトについては当初の計画通りに学会報告および論文投稿のための準備ができた。サブプロジェクトについても成果を論文として公表できた。以上を踏まえて、おおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
メインプロジェクトについて、今年度の成果に定量的な分析を加えた内容を論文にまとめて早い段階でワーキングペーパーとして公表するとともに、学会報告を行い分析に対するコメントを得る。
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