研究課題/領域番号 |
21K13266
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07020:経済学説および経済思想関連
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研究機関 | 東京工業大学 (2022-2023) 大分大学 (2021) |
研究代表者 |
江原 慶 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (20782022)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マルクス / ケインズ / MMT / 貨幣 / 金融 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,財政政策の目標を完全雇用とし,それに必要な資金を中央銀行と中央政府とが一体となって弾力的に供給しつつ,マイルドなインフレを達成しようとする「現代貨幣理論(MMT)」が注目を浴びている。MMTの背景に,ケインズ的な表券貨幣論があることはよく知られるが,ケインズ派と対立する貨幣論をもつとされる,マルクス経済学者の間でもMMTへの関心が高まっている。MMTが,貨幣論の立場の違いを 超えて一般的に成立するのか,検討する必要がある。そのため,本研究では,ケインズ派貨幣論・金融論との比較検討を行い,マルクス派MMTが実現可能かを検討する。それにより貨幣論史研究の成果が現代的な政策論議へと還元される。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は,マルクスの商品貨幣論の射程を,ケインズ派の表券貨幣論のそれと比較し,それをもとに現代貨幣理論(MMT)の政策目標を達成できるか,検討することであった。貨幣論については,単著『マルクス価値論を編みなおす』(桜井書店,2024年)にて,構造的な再編を含む新しい貨幣論を提示した。それに基づきMMTに批判的検討を加え,MMTの目指す民主的な社会像を,「脱成長貨幣論」を通じて達成するという展望を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ケインズ派の表券貨幣論のうちに論じられてきた信用貨幣論が,マルクス派の商品貨幣論にも取り込みうることを明らかにした点に,学術的意義がある。これにより,ケインズ派とマルクス派の基本的争点は,信用貨幣の扱いではなく,国家の取り扱い方にあることが浮き彫りとなった。貨幣論は純粋に経済理論・思想的な問題なのではなく,現実の政策の指針となるべきものであり,「脱成長貨幣論」のように,貨幣論史の観点から政策的議論にコミットできることが示された点が,社会的意義である。
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