研究課題/領域番号 |
21K13309
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
小野塚 祐紀 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (20875067)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 大学入試制度 / 入試方法 / 教育経済学 / 推薦入試 / 一般入試 / トレードオフ / 大学進学行動 / 筆記試験入試 / 推薦入試・AO入試 |
研究開始時の研究の概要 |
入試制度は、誰が学校に行くのかと、誰がどの学校に行くのかを決める役割を持ち、人材育成の観点から社会的に重要である。しかし今までの研究では入試方法自体を選択できるケースが注目されてこなかった。本研究では、筆記試験入試と推薦・AO入試という、実施時期と学生の評価軸で互いに異なる日本の入試方法に着目する。理論的な枠組みを提示した後、、入試方法が学生の大学進学行動へ与える影響を実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
入試制度は、学生の選抜(誰が学校に行くのか)と配置(誰がどこの学校に行くのか)を決定しており、人材育成の観点から重要な役割を果たしている。本研究では、入試方法が人材輩出に与える影響について、日本の大学入試方法の分析をすることで実証的な知見を提供することを目的としている。特に筆記試験入試と推薦・AO入試に注目をする。 本年度は主に二つのことを行った。一つ目は、推薦入試と一般入試の間の学生に関するトレードオフの分析である。まず、2種類の入試方法を持つある大学を考えた簡単な理論的枠組みを用いて受験生を各受験方法の合否(可能性)の組合せで分類し、各分類の受験生の特徴をまとめた。そして、受験者の各分類の割合はそれぞれの入試の難しさや、二つの入試方法の類似性によることを示した。また、この2種類の入試方法間でどのような受験生のトレードオフが発生するかを示した。この理論的な枠組みに基づきデータ分析を進め、主要な分析結果として、当大学での受験者の各分類の割合や、推薦入試を導入することで獲得できた・できなかった受験生の特徴を示した。主要な分析は論文にまとめた。 二つ目は、代表者が所属する大学に2022年4月に入学した者を対象としたパネル調査の実施である。調査は、入学直後、前期成績開示後、後期成績開示後の計3回行った。このアンケート調査は業務データに含まれない変数を得て分析を充実させるためのものであり、先に述べた研究にも当調査結果を用いた分析を追加することを考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の第一段階として位置付けていた基本的な事象をデータでまとめた準備的な研究は、昨年度までに学会やワークショップで報告を行った上、査読付き学術雑誌に今年度掲載されている。 前年度研究実績報告にて述べたとおり、代表者が所属する大学の業務データを研究に利用できる可能性が前年度に判明したことを受け、業務データを利活用した分析を行うことに予定を変更している。業務データでしか知りえない有用な変数があることや業務データを用いた分析は日本ではまだ少ないことから、これを利用した研究は価値が高いと考えている。 今年度は二つのことを予定していた。一つ目は、大学の業務データのみを用いて、異なる入試方法により大学はどのような学生を獲得できている・できていないのかを分析することであった。これについては主要な結果は論文にまとめ終えており、目標を大体達成できた。 予定していたことの二つ目は、代表者が所属する大学への2022年4月入学者を対象としたパネル調査である。入学直後・前期成績開示後・後期成績開示後の全三回の調査はすべて大きな問題なく実施・完了できた。この調査で収集したデータを利用した分析はあまり進まなかったが、この理由はある学術雑誌からの当研究に関するテーマでの論文寄稿の依頼を引き受けたことにある。研究課題自体への理解は進んだため、全体として進捗としてはおおむね順調だと考える。なお、この寄稿論文は来年度に掲載される予定である。
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今後の研究の推進方策 |
一般入試・推薦入試間のトレードオフに関する論文を学会やワークショップ等で報告する。その際にもらったコメント等を参考に改訂を行い、査読付き国際学術誌への投稿を目指す。論文改訂の際には、今年度収集した調査データを用いた分析の追加も考えている。 また、今年度行ったものと同様のパネル調査を2023年4月入学者にも実施する予定である。これは、当大学の規模が小さいため、複数年調査をすることで分析に充分なサンプルサイズを確保することが狙いである。
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