研究課題/領域番号 |
21K13310
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
石丸 翔也 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (40894142)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 失業経験の賃金への影響 / 二方向固定効果モデル / 失業と賃金 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は、失業後の長期的な賃金低下のメカニズムの解明を目的とする。研究の第1段階では、失業後の賃金低下の因果的な識別や賃金低下の要因の特定を行うための計量経済学的枠組みを構築する。研究の第2段階において、労働者の賃金や企業間の移動を追うことのできる労働市場のパネルデータを用い、失業後の賃金低下のメカニズムの定量化を試みる。
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研究実績の概要 |
この研究の目的は、失業後の長期的な賃金低下のメカニズムの解明である。研究計画は、(A)失業の賃金への影響の因果的な識別やその要因の特定を行うための計量経済学的枠組みの構築、(B)実際のデータを用いたメカニズムの定量化、という2つの課題で構成される。以下、2023年度における、各課題の進展を記す。 (A)前年度(2022年度)までに公開していた、ワーキングペーパー”What Do We Get from Two-Way Fixed Effects Regressions? Implications from Numerical Equivalence”の発表を3つの国際学会で行った。こうした発表を含む様々な機会で交流した研究者から得たフィードバックをもとに改訂作業を進め、国際学術誌への投稿準備をほぼ完了させた。 (B)当初の目的は失業後の長期的な賃金の低下要因の解明であったが、予備的な分析を進めるうち、賃金の低下幅の因果効果の計測自体にも既存の手法では問題点があることが分かり、因果効果の正しい計測に研究の重点を移した。例えば、働き盛りの労働者を対象とする場合、ある年に失業を経験した労働者とそうでない労働者の元々の賃金成長率の違いがあり、一般的な固定効果モデルによる推定は適切ではない。前年度(2022年度)までに検討していた、非線形なモデルによる推定方法とそれに必要な計量経済学的な仮定のもとに分析を進め、上記の賃金成長率の違いを考慮すれば失業後の賃金の因果効果としての低下幅は、既存手法での推定値の2/3ほどに留まることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、2023年度までに「計量経済学的枠組みの構築」の面では研究成果をまとめたワーキングペーパーの国際学会への投稿準備が進み、「データを用いた定量化」の面では暫定的な分析結果を得た。最終年度で当初の計画を完遂できる見込みは高いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
上記の各課題について、2024年度は次のような方向で進展を図る。 (A)ワーキングペーパーを国際学会で更に数回発表し、フィードバックをもとに論文の質を完璧なものとする。完成した論文を国際学術誌へ投稿する。 (B)これまでに得た結果を元に、ワーキングペーパーの初稿の完成と国際学会での発表を目指す。
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