研究課題/領域番号 |
21K13323
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 京都産業大学 (2022-2023) 名古屋経済大学 (2021) |
研究代表者 |
崔 ワイカン 京都産業大学, 経済学部, 助教 (30882295)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 財務的柔軟性 / 財務制約 / 保守的負債政策 / 財務的弾力性 |
研究開始時の研究の概要 |
企業が大量の現金保有を持つ、または極めて少ない負債を持つような融資政策は保守的負債政策と呼ばれ、非効率的な負債政策とされている。しかし、多くの日本企業は保守的負債政策をとり、日本企業における融資政策の効率性が問われる。 本研究は日本企業が保守的負債政策をとる原因と、保守的負債政策をとることで蓄えた財務的柔軟性の有用性について究明し、企業の効率的融資政策と不況時の融資困難の解決策を検討するものである。
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研究実績の概要 |
2023年度はこれまでの研究結果に基づき、学会発表等で頂いたコメントを踏まえ、分析結果の精緻化に向けて作業を進めた。今までは財務的柔軟性の金融危機のような外部からの融資が困難な際における有用性について究明してきたが、分析対象によっては、その財務的柔軟性の価値が異なり、その違いをも考慮すべきである。特に、各企業における財務制約の有無はその企業にとっての財務的柔軟性の価値に大きく影響を与えるとされていることから、昨年度の研究に続き、本年度では財務的柔軟性の有用性に関する分析に財務制約による影響を取り込み、さらに分析を進める。 企業は財務制約に直面していると判断するには基準が必要なため、まずは様々な財務制約の基準から日本企業に適切なものを選出する作業を行った。財務制約に関する既存文献の実証分析の結果を踏まえ、現金保有の決定要因、現金保有ならびに投資のキャッシュフローに対する感度という三つの側面から分析を行い、配当支払がないこと、そして指数であるKZ indexは比較的に適切な財務制約の基準であることが判明した。 また、企業の成長機会は企業の現金保有に正の影響を与える結果を得ているが、この影響は企業の成長機会が高くなることにつれ、弱まってしまうという結果をも得ている。具体的には、成長機会の高い企業はキャッシュフローから現金保有に回せる割合が低くなるため、他の条件が一定のもと、成長機会の高い企業は成長機会の低い企業のようには貯蓄できないことを分析結果が提示している。既存文献では、成長機会が高いことは外部から融資する際の財務制約は深刻であるとされることから、この結果は成長機会の多い企業は内部資金により依存することを反映しているとも言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、国内外の学会へ出席できるようになり、これまで得ることの難しかった研究に対するコメントを踏まえて修正するために、当初予想していたより時間を要すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
学会発表で得られたコメントに基づき計量分析モデルを修正するなど、研究を改善するとともに、論文執筆と投稿を中心に研究を進めていく予定である。
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