研究課題/領域番号 |
21K13326
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
重田 雄樹 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90793331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 行動ファイナンス / 家計の金融行動 / NISA / 行動ファイナンス理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、古典的なファイナンス理論のみでは説明の難しい家計の金融行動について、行動ファイナンス理論に基づく補完的な理論的かつ定量的検証を行う。例えば、2015年度におけるNISA口座の過半数が非稼働口座であったことは、古典的ファイナンス理論のみでの説明は難しい。この場合、現在においては最適であった将来の投資計画が、いざ将来が到達した時に最適ではなくなるような可能性のある時間的非整合性が上述の事象を説明できる可能性がある。本研究においては、そのような行動ファイナンス的要素を踏まえた家計の金融行動理論モデルを構築し、またその定量的分析を通して、投資促進制度の実証的含意の検証を行う。
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研究実績の概要 |
令和五年度においては、無限期間における再帰的効用関数の構成についての理論的な研究を行った。経済学においては通常、無限の計画期間を持つ個人を仮想的に考え、その個人の消費や投資の意思決定を分析するが、再帰的効用関数の場合、無限期間の再帰的効用関数の数理的厚生については、特定のパラメータにおいては、必ずしも自明ではなかった。そこで本研究で、その数理的な構成法を考案した。再帰的効用関数は投資の意思決定問題においては頻繁に用いられるものであり、その数理的性質を明らかにしたという点で一定の価値がある。手法としては、有限期間の再帰的効用関数が満たすアプリオリな上界と下界を求め、それを利用することで、無限期間の再帰的効用関数へと単調に収束する有限期間の再帰的効用関数の列を構築した。また、応用問題として、具体的な消費投資問題を考察し、不完備市場モデルにおいて、証券価格が従う確率微分方程式の係数が滑らかかつ有界である時に、HJB方程式と呼ばれる偏微分方程式が効用最大化問題の価値関数を特徴づけ、またそのHJB方程式の一意解の存在を示した。当該研究をまとめた論文は日本金融学会の関東部会で発表したのちに、査読誌へ投稿し、現在審査待ちの状態である。 また、前年度から進めている事後的な異質性を持つ経済モデルの均衡の存在定理について、国際学会(Society for the Advancement of Economic Theory)で発表した。現在は、査読誌への投稿を目指し、更なる精緻化を進めている。 これらの研究は、本研究課題の主題である、投資家個人の消費投資の意思決定を数理的に分析する上で標準的かつ重要であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家計の金融行動における具体的な資産選択モデルの構築が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
数理モデルの構築を行い、消費者の投資行動についての理論的な理解を深める。また、その成果を論文としてまとめることを目指す。
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