研究課題/領域番号 |
21K13334
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
酒井 一輔 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (30823794)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 地域基金 / 運用益 / 公共財 / 近代移行期 / 地方財政 / 地域経済 |
研究開始時の研究の概要 |
近世後期から明治期にかけて、地域社会が共有財産として保有していた金銭米穀などの資産を基金として活用し、その利殖運用益を困窮者救助や学校設立、水利土木工事などの公共事業の政策経費に充てることがしばしばみられた。税の徴収ではなく地域の基金を通じて地域公共財をファイナンスする仕組みは、なぜ必要とされ、どのように生み出されたかを、当時の政策担当者の現状認識や政策意図を掘り下げることによって解明していく。
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研究実績の概要 |
本研究は、地域基金を通じて地域公共財をファイナンスする仕組みがなぜ生み出されたのか、それは当該期の日本経済の発展や地域経済の近代化にいかなる意義を有していたのか、を明らかにしようとするものである。 2021年度は、史料の探索・収集・調査を中心に進めた。とくに基金運用益によって地域公共財をファイナンスする仕組みが導入される過程・経緯に関して、政策担当者の現状認識や政策意図を窺い知ることのできる史料の発見・収集に一定の成果を得られた。近世期のものについてはまずは計画に沿って、中津藩・熊本藩などを中心に藩財政部局や藩財政役人が作成・管理していた公文書類を幅広く探索した。その結果、起案書や日記、回想録など政策担当者の現状認識や政策意図がうかがわれる史料を20点近く収集することができた。これに加えて、寛政~文化期の江戸幕府勘定所の内部文書を発見できたことは、計画段階では想定していなかった重要な成果となった。この発見に伴い、関連する幕府勘定所および代官所の史料を探索・収集した結果、3件37点の史料を収集することができた。これらの収集史料は現在も解読・分析作業を進めており、おおむね70%程度は解読済である。解読・分析の一部成果については、経営史学会等において学会発表を行った。また、明治期のものについては、学校資本金(小学校の建設・維持のために学区ごとに拠出した基金)をめぐる文部省・府県学務課が作成した公文書類を幅広く探索した。その結果、政策担当者の現状認識や政策意図をうかがうことのできる史料を21件27点収集した。これら収集史料の解読・分析作業を進めた結果、おおむね30%程度は解読済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた史料調査回数を達成できていない。これは緊急事態宣言等により文書館等の閲覧利用に制限がかかったためである。そのため、当初は予定していなかった刊行史料や目録などを収集・調査した結果、想定外の史料を発見できた。これにより貴重な事実発見を得ることができたため、研究活動そのものが停滞したわけではない。しかし、史料収集が当初予定通りには進んでいないため、計画よりはやや遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画よりも地方出張の機会を増やし、公文書館等での史料収集・調査を積極的に行う予定である。とくに第一次学校令期から第二次学校令期にかけての文部省と府県学務課との往復文書の調査を軸として、秋田県・岩手県・山口県・長崎県・宮崎県等の府県行政文書の調査を進めていく。
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