研究課題/領域番号 |
21K13336
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
永島 昂 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10733321)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 鋳物工業 / 技術格差 / 戦時統制 / 工業整備 / アジア・太平洋戦争期 / 科学技術 / 戦時期 / 下請工業 / 工業統制 / 戦後復興期 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では産業史の視点から戦時・戦後復興期日本の鋳物工業の展開について検討する。戦時期は近代鋳物工業が機械工業の下請事業に転換した時期に当たり、この転換過程において大工場と中小鋳物業者の技術格差が顕在化した。商工省および機械業者から中小鋳物業者の技術水準の低さが問題視され、鋳物業者の育成が戦時期中小工業整備の課題の一つになる。この技術格差問題は、戦後にも引き継がれ、高度成長期に中小鋳物業者の技術水準が高度化したことによって解消された。そこで当該期鋳物工業の特徴を「技術格差の生成と定着」と捉え、1930年代の鋳物工業、戦時鋳物工業統制・整備の展開と実態、戦後復興期の鋳物工業について分析する。
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研究成果の概要 |
本研究では戦時下の鋳物工業に及んだ経済統制の展開とその実態を分析した。鋳物工業に対する戦時統制は1938年4月の銑鉄鋳物の製造制限から始まり、機械鋳物生産への転換が強制された。その後、鋳物を外注する機械業者等で鋳物の入手困難が生じ、鋳造品の配給統制へと展開する。40年12月に機械鉄鋼製品工業整備要綱が閣議決定されると、同要綱に基づいて鋳物用途別に指定工場を定める鋳物工業整備要綱(41年9月)が定められた。鋳物工場が指定され、指定工場は特定用途の機械鋳物の生産に専門化することになったが、計画どおりには進まなかった。太平洋戦争末期には原料配給と熟練鋳型工の不足が深刻化し、生産停滞が生じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
戦前期に現れていた鋳物工業の技術格差は、戦時統制の下で鋳物工業が機械工業の基盤産業として位置づけられたことで、克服すべき問題として表面化した。戦時期に技術格差あるいは技術的低位性の問題が解消されることはなかったが、機械工業の競争力強化をするには鋳鍛造といった機械製造の基盤技術から底上げしていく必要性が戦時期に認識されたことが重要であった。
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