研究課題/領域番号 |
21K13338
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 周南公立大学 |
研究代表者 |
呉 贇 周南公立大学, 経済学部, 准教授 (70823110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 中国経営史 / 管理知識の移転 / ハイブリッド化 / 新興国経済 / 中国企業 / 科学的管理法 / 国際経営 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国資本企業の発展を支えているいわゆる「中国的経営」の形成過程を解明するため、その基礎段階となる改革開放初期(1970年代後半~90年代初頭)の外国経営管理知識の学習活動を対象に、以下の問題を分析する。 第一に、具体的にどのような学習内容がどのように決定され、どのような方法で学習されたのかを解明する。第二に、学習した管理知識はどのようなプロセスで中国企業に定着(或いは消失)したのかを明らかにし、「中国的経営」の形成に至った要素を見出す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、諸外国の管理知識を吸収し、それらを中国本土の慣行に合わせ融合させた「中国的経営」形成の第1段階(1970年代後半~90年代初頭)を対 象に、その過程を明らかにすることである。本年度では、①民国時期の「科学的管理法の中国導入」が「中国的経営」への影響をさらに深堀し、②日本国内とヨーロッパでの資料調査を実施した。 研究成果について、主に下記の2点に集約する。 第1に、中国的経営のハイブリッド過程がもっと早い時期からさかのぼることが必要と分かり、その早期形態を「科学的管理法の中国導入」という事例を通じて分析した。第2次世界大戦前、戦時中における国民政府が科学的管理法の導入における役割を解明した。科学的管理法の民族企業への導入は外国資本への対抗措置として政府の政治的意図があり、これが導入に対するプラスとマイナスの要因として働いた。この成果は、EBHA(2022年6月)の年次大会で発表した。また、ある民族企業のケースを通じて、いわゆる科学的管理法の導入は、知識と実践の場の両方において、日本からの移転があったことを発見した。この移転がナショナリズムの高揚(日中戦争の開始)によって、形が変えていくことも明らかにした。この成果は、WEHC(2022年7月)で発表した。 第2に、資料調査を通じて、本研究に関連する一部資料の発見および収集ができた。日本関連の資料は国立国会図書館を中心とする3回の調査を通じて、中国人対象の経営管理教育・研修についての資料を多数入手し、解読・分析を進めている。ヨーロッパに関する資料は、マドリードの国立史料館(National Historical Archive)で調査したが、なかったことが分かった。しかし、EBHAのコミュニティを通じて、ドイツ、イギリス、フランスに関連文献の所在情報を提供してもらい、次の調査につながった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外での資料調査は、コロナウィルスの流行による移動規制は緩和されたとはいえ、未だに経済的かつ便利な状況ではなかったため、予定していたアメリカへの資料調査と中国でのインタビューは実施できなかった。そのため、計画に沿った進捗が少し遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、入手した資料の分析をするとともに、遅れていた海外での調査を積極的に行う。夏にヨーロッパ(ドイツとフランス)、お正月あたりに中国、春にアメリカという計画である。また、資料を集めながら分析も進め、段階的成果をアメリカ、ヨーロッパ、日本の経営史学会で報告する。最終的に英語論文1本と日本語論文1本の投稿を目標に執筆作業も開始する。
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