研究課題/領域番号 |
21K13350
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 東洋学園大学 |
研究代表者 |
安藤 拓生 東洋学園大学, 現代経営学部, 准教授 (00835209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | デザインマネジメント / デザイン・ケイパビリティ / デザイン態度 / デザイン思考 / 職場環境 / デザイン経営 / 信念 / 動機 / デザインシンキング / デザイン人材 / 性格 / デザインケイパビリティ / デザイン人材育成 / 尺度開発 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、非デザイン職人材に広義のデザイン能力(専門技術的・造形構成能力ではなく、企画や調整、問題解決に関わるデザイン能力)を育成する試みが世界中で見られるが、これを測定・評価する方法に関しては十分な検討が行われていない。本研究では、この非デザイン職人材の持つ広義のデザイン能力を測定するために、ケイパビリティ論の観点を応用したデザイン・ケイパビリティ尺度の開発を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、広義のデザイン能力を測定するデザイン・ケイパビリティ(以下,DC)尺度の開発を行うことである。本研究課題におけるDCはデザイナーに限定されるものではなくその他の職業においても共有されていることを想定しており、①傾向性(資質・態度的側面)、②思考様式(認知的側面)、③行為(職務的側面)の三つの側面から定義される。これらの三つの関係性を数量的に明らかにすることが本研究の目指すところである。 2023年度は、(1)DCに関連する既存理論の体系的な整理(上記の①、②、③に関連)と、(2)そこから得られる能力の各要素の関係性の数量的な把握(上記の①に関連)を試みた。また、(3)これらの三つの側面を満たした人材の職場環境に関する理論とその意義の考察(上記の③に関連)を試みた。 研究(1)を通して、これまでのデザインマネジメント研究で指摘されてきた人材の資質・態度の要素の理論の整理がなされ、DCを学術的に議論するための土台が形成された。研究(2)を通して、「新しさへの挑戦」、「機会志向」、「良さの追求」の三つの信念・動機の次元の尺度化がなされた。研究(3)を通して、これらの傾向性を持つ個人が制限されることなく働くことのできる職場環境に関する議論を人事・労務の視点から整理した。 2023年度の研究成果から、DCに関する①傾向性(資質・態度的側面)の理論化がなされたこと、またこれを十分に発揮することのできる組織環境に関する③行為(職務的側面)の理論的土台を形成することができたことは、研究領域において意義のあるものと考える。これまで多くの研究がDCに言及してきた一方で、理論的な観点から整理したものは少ないため、本研究の成果は領域の前進に貢献しているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度課題として挙げられた、②思考様式(認知的側面)のテスト開発は今年度も計画通りには進まなかった。テスト開発に関しては、現在デザイン能力を反映することのできる問題の検討と、これを測定するための実験環境の設計を継続的に行なっている段階である。またこのテスト形式以外の方法での可能性も残しているため、開発自体の必要性についても引き続き検討している。 本研究はDCの多角的な検証が目的とされるため、それぞれの要素の理論的整理と測定尺度の開発が必要とされる。2023年度の目標であった最終的な目標である各要素の関係性の把握は現状では行えておらず、理論的整理と尺度の開発の段階を脱していない。 2024年度はこれまでの尺度開発の成果を整理し、DCの三つの要素の関係性を数量的に明らかにするための最終的な調査実施までを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、2024年度は、DCにおける②思考様式(認知的側面)の測定に関するテストの開発と、三つの側面の関連性を調査するための質問紙調査を進めていく予定である。2024年度の前半においては①②に関する尺度開発のプロセスを繰り返し、目的を達成するための適切な尺度の開発を目指す。その後、年度の後半においては本研究課題で検討した要素の関連性を明らかにする質問紙調査を行う。年度末にはこの調査分析の結果をまとめると共に、これまでの全ての研究結果を統合し研究課題の成果と限界をまとめる予定である。 また、当該領域の他研究者の研究の深化も同様になされていることから、領域の研究知見を総合した上で、本研究を行う上で必要性のある尺度開発のみに注力することも視野に入れている。このような対応をすることで、当初の研究計画に対する遅れを補填する所存である。
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