研究課題/領域番号 |
21K13373
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
徐 寧教 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (40802244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 知識移転 / 海外生産 / 海外マザー工場 / 海外孫会社 / 多国籍企業 / 海外子会社 / 生産システム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多国籍企業の海外孫会社に対する知識移転をそのテーマにしているものである。多国籍企業はビジネスのため、海外に子会社を設立するが、その子会社がさらに子会社を設立した場合、それを海外孫会社と呼ぶ。海外孫会社に競争優位性の源泉となり得る知識をどのように移転し活用していくのかが本研究の主な関心である。 本研究を通じて海外子会社から海外孫会社への知識移転プロセス及びそれを促進させる要因、そして海外子会社と海外孫会社のパフォーマンスにおける影響が明らかになるだろう。
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研究実績の概要 |
「海外孫会社への知識移転に関する研究」という研究課題において、2022年度は、6つの研究実績を残すことができtあ。その内訳は、1本の学術論文と3件の学会報告、そして2件の講演である。 学術論文としては、「戦略転換への既存事業の歴史の影響:日本のウイスキービジネスの事例」というタイトルで赤門マネジメントレビュー21巻3号に査読付き論文を掲載した。 学会報告としては、まず国内学会の部会発表として、4月に第107回国際ビジネス研究学会の関東部会にて、「多国籍企業の知識マネジメント」というタイトルで発表を行い、全国大会としては、12月に第14回オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会で「海外工場の能力構築とその活用としての 海外マザー工場」というタイトルで発表を行った。国際学会としては、8月に奈良で行われたThe 6th World Conference on Production and Operations Management という学会で、「The bridging role of a foreign subsidiary in the lateral knowledge transfer of Japanese MNC」というタイトルで発表した。3件の学会報告を通じて、理論的な面において海外孫会社をどのように解釈するかの方向性を定め、さらに過去の事例を海外孫会社の文脈から再解釈することを試みた。 さらに今までの研究成果をまとめて、4月には東京大学のものづくりコンソーシアムで「多国籍企業は、どんな知識を、どこに移転しているのか」という講演を、9月には自動車産業研究フォーラムで「韓国自動車産業と現代自動車」という講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、海外孫会社に対する知識移転についての研究である。そして、最初の研究目標として掲げたものとして、海外孫会社の概念を学術的に位置付けるというものがあった。現在まで進めてきた理論的研究を通じて、海外孫会社とそれを支える海外マザー工場を理論的に解釈する研究ノートを投稿し、すでに学会で受理されている。当初の目標の一つをを達成したと評価できるだろう。 また、本来ならば、さまざまな海外拠点へのインタビュー調査を計画していた。しかしコロナ禍において、水際対策の問題もあり、思うように調査をすることができなかった。しかし過去の記録の中で、該当するデータを探したり、関連するデータを持つ学者との共同研究を行うことで、大きな遅れをとることなく、研究を進めていると評価できる。特に、学会にて本研究課題に関する研究報告を行い、関連した多くの質問やアイデアを受けたのは、大きな収穫だったと言える。 最後に、22年度末においては、コロナによる移動制限が大きく緩和され、海外子会社からの知識移転、そしてそれを受けた海外孫会社の経営状況などを観察する調査を行うことができたのも大きな進捗があったと言える部分である。このデータを基にこれから本格的な研究を進めていくことができると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方向としては、大きく3つの方向性が考えられる。 まず、大きく進展している海外子会社から海外孫会社への能力移転プロセスに関する研究において、海外学会での発表が予定されている。EUROMA2023で関連内容を発表するとともに、すでに提出した原稿を投稿していくことを目指したい。 次に、海外孫会社が設立される背景について探っていきたい。この部分においては、多国籍企業の歴史的な背景や他の拠点および本社の事情、そして世界と現地の状況など様々な要因が複雑に相まっている。なので、現地調査を追加的に進めることで、多国籍企業が海外孫会社を設立するという意思決定に至るプロセスをより確実なものにしていく必要がある。海外拠点への調査を進めつつ、関連資料を合わせて論文を投稿していきたい。 最後に、海外孫会社の設立とその知識移転が海外子会社に与えるパフォーマンスへの影響を分析する必要がある。これに関しては、理論研究とパイロット調査を併用しながら仮説を導出し、それに合わせて測定可能な指標を見つけていきたい。海外子会社のパフォーマンスに関する変数を整理しつつ、それらのなかで海外孫会社によって影響されうるものを抽出していく。また、パイロット調査を通じてその妥当性を検討したい。
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